2012/10/31

自治体財政研究会

22~23日、自治体財政研究会に参加しました。

自治体財政研究会は、公会計研究所と千葉商科大学が主催し、日本税制改革協議会が事務局となり、「子供にツケをまわさない!」を掲げ、小さな政府を目指されています。はじめて参加させていただきましたが、大いに参考になりました。以下2日間の内容です。

 千葉商科大学 吉田教授の講座。「子どもにツケをまわさない」
会計とはそもそも何であるのかを問い直し、2001年の悪い結果を受け2002年に公的年金負債を預かり金へと換え数値操作していることなど、政府の貸借対照表のからくり、財政の問題と公会計のあり方を学びました。

吉田教授の著書「環境会計の理論」、講義でもいわれていた会計とはそもそも何なのかを中国の古典にさかのぼり解説されています。

そして、自然環境を継承財として位置づけて環境会計の理論を展開されています。「継承財は、人が生まれたときに継承する。対価を支払わないので、どれほどの犠牲を費やして手に入れたのかを知ることができない。多くの人が、その価値に気付くのは、その財が失われた時となる。次の世代にも継承するのが、継承財を手にした者の責任である。」・・・心に響く言葉です。

 誰に仕事を任せるのか?間違った者に任せれば失明してしまう・・・。大切なことがおろそかにされています。

 千葉商科大学 武美教授の講座。「inequality」
本物を見極めること。価値と価格は違い、経済学者は価値を言わない。価値は政治の仕事だが・・・。高齢化社会での経済成長の必要性。シンガポールやチリ・バレーのように高等教育を受けた移民の受け入れを積極的にすることを提言。

日本がブータンをまねて幸福度を考える事は破滅を招く。

 人と自然の研究所 野口代表の講座「地方財政にやさしい環境政策」
経済成長は環境との共存の考え方が必要。環境負荷により後世に負担を残さない環境づくりが財政にもやさしい
 東海村事故で83日後に亡くなられた方の写真。人の細胞は1日で約5000億死滅しますが、新たに約5000億の細胞が生まれています。8000ミリシーベルトの被曝によりこの新陳代謝機能が破壊され、細胞は死滅するのみとなり亡くなられています。

 福嶋前消費者庁長官の講座。「市民自治を理念とした自治体経営」
質を高めながら収縮していくことが求められる時代。市民の合意をつくるリーダーシップとともに市民の意志に基づいて決める時代。地方からしか日本は変わらない。(突き詰めれば市民が変わるしか道はない。)

東洋大学大学院 サム・田淵教授の講座。
         「日本の再生は可能か?自治体の再生は可能か?PPP思考で考えられるか?」
 日本の財政の状況、そして経済を考えると、PPPによるアウトソーシングは避けられない。

講義では簡単にふれられていただけでしたが、この本を読んでよくわかりました。2005年12月サンディ・スプリング市は誕生しています。究極の形、サンディ・スプリング市は市のサービス全体を包括的に民間に委託する契約を結んだPPPで同規模の都市に比べ、はるかに安いコストで行政を運営しています。その成功により、アメリカでのアウトソーシングは進んでいます。知らなかった・・・

日本税制改革協議会 内山会長の講座「グラスルーツが社会変革に果たす役割」
 そもそも「法」という概念は、権力者の圧政から人民の自由を守るために出来たものである。税金が私達の自由を奪う最も大きな規制であり、税をコントロールする立場にある政府が不当に私達の自由を奪うことは許されるべきではない。よって私達の自由を奪う政府の力は最小限のものとするべきである。故に税は簡単で判りやすく安くなければならない。
私たちの「小さな政府」を唱える理由はここにある。

公益財団法人地方自治総合研究所 菅原研究員の講座「自治体財政分析」
平成23年度決算による財政分析と限界について。

最後に再び千葉商科大学 吉田教授の講座。
    「子供にツケをまわさない。役所のバランスシートを読む。首長のバランスシートをつくる」
自治体バランスシートの課題とあり方。大田原市の決算をもとにバランスシートの作成。