2014/03/10

イギリスの医療改革に学ぶこと

3月6日の記事を読んで目が点になった。

厚生労働省は、帝王切開手術料を引き下げる。
手術の所要時間が短縮し、人件費が減っていることが理由だが、出産のリスクを考えずにコストだけを考えている。

医療現場に産婦人科医は十分に確保されているのか?
36時間勤務など、疲弊しているとされる産婦人科医の現場は改善されたのか?
日本の医療は小手先のコスト管理だけでいいのか?

日本の医療のあり方を考えると、イギリスの医療改革は大変参考になる。
イギリスの医療は1990年代に崩壊の危機にあったが、2001年から医療の大改革が進められ、成功を収めている。



まず、医療費を抑える政策から180度方向転換し、10年間で医療費は倍増した。
医師は28%、看護師は18%増員され、必要な人的資源が確保されるだけでなく、大幅な給与の増額も行っている。

そして、医療の質を改善するために、主な疾患に対して具体的な指標を使って改善目標が建てられ、地域の住民が地域医療の運営に主体的にかかわる仕組みを普及させている。

同時に、財源配分と医療機関は国営システムのなかで行いながら、経営責任を明確化して競争と牽制のある仕組み。

日本の国民一人あたりの医療費はOECD加盟国の平均値を下回っている。
良く言えば、世界一長寿な国が世界一効率的な医療を行っているのだが、
内訳を見ると、薬剤費の比率は世界一高く、医療機器の値段もトップであり、人件費比率は低く、医療従事者数も低い。

イギリスの改革前と同じく人が大切にされているシステムではない。

医療改革はイギリスに学ぶ必要があるのではないだろうか。