2011/08/31

「日本海軍400時間の証言」を読んで

 戦後35年経った昭和55年から平成3年まで、海軍士官のOB組織で秘密裏に開催されていた「海軍反省会」の記録テープをもとに制作された番組「日本海軍400時間の証言」の取材の過程、内容が書かれています。

 この本では、負けるとわかっていた戦争になぜ突入したのか、また、生きて帰ることのない特攻作戦、特攻兵器を本当は誰が考えたのか、戦犯裁判への対応をどのように進めたかなど、戦時中の資料が破棄されて空白となっていることについて新事実も書かれていて、興味を持って読みました。

 しかし、それ以上に、「責任者のリーダーシップの血如」、「身内をかばう体質」、「組織の無責任体質(責任回避)」、「「組織優先、個人軽視」、「責任所在のあいまいさ」など、組織幹部の都合だけが優先されていたことがよくわかり、日本は戦前も戦後も変わっていないと感じました。

 縦割り組織の弊害が強く、上司の指示が間違っていると思っても、発言すべき時に発言できない、その場の空気に流されてしまう。しかし、誰もうまくいくと思っていないので自分に責任がかからないようにする。

 その最たるものが特攻の決定で、(大西)「搭乗員の訓練不足で、到底当たり前の空中戦闘は出来かねる。みんな攻撃をする前に撃墜されてしまうから、この際、空中戦闘を避けて目標の敵に体当たりする戦法を取りたい。」、(及川)「命令だけではやってくれるな、各搭乗員の発意でやると言うならそれでやってくれてもよろしい。」と、責任を放棄しています。

 しかし、一方では、それ以前から「桜花」や「回天」などの特攻兵器を海軍工廠に命令でつくらせています。特攻隊を送り出した現場の中堅幹部は非常に苦しんでいますが、「海軍反省会」の軍令部幹部は責任逃れに終始しています。

 京丹後も、組織のあり方に弊害が出ているように思います。条例上は副市長2人制ですが、市長の個性を熟知している方は要請を受けても拒み、1人空席のままになっています。このことをはじめ歪が広がっています。今迄に勧奨退職で辞められた幹部のなかにも、市長に意見をされる方もおられました。そして、議会でも決議や一般質問で採算に渡って市長に注意をしてきていますが、治りません。次なる方法に移らねばなりません。

2011/08/30

次回の懇談会(議会報告会)も12会場で~議会活性化委員会8月30日

  8月18日と19日に昼夜に分けて12会場で試行的に実施した「市民と議会の懇談会(議会報告会)」について、参加状況や、参加市民のアンケートなどをもとに、委員会で検証と評価を行い、今後の「議会報告会」のあり方について意見交換をしました。

 全体として、昼間の参加者が少なかったのですが、アンケートでは夜間の参加者においても、昼間の開催を求める意見もあり、1回だけの試行的な実施のみで早急な結論を出すべきではないとの意見が多く出され、次回の「議会報告会」は、夜間の開催は平日とし、昼間の開催は土日を活用して実施することに決定しました。

 全体的に関心を高める取り組みをして参加者を増やす必要があり、さりとて、参加者が多ければよいというわけでもなく、自由に意見を言ってもらえる雰囲気づくりが大切であり、市民のみなさんが気軽に参加しやすいように、開催会場については、今回と同じく、旧町の中心の大きな会場で実施するのではなく、市民局長と調整して各町2地区で行います。

 また、今回、議員が個人の意見を発言できるようにしたことは、議員、市民の双方から評価が高く、問題もなかったので次回も継続することとしました。

 そして、議会報告の時間は今まで通り30分として、懇談の1時間30分をメインとし、事前にチラシを配布して、懇談のテーマを市民に周知することを決定しました。テーマは、「火葬場の建設、下水道料金の値上げ、し尿処理費の値上げについて」です。

 従前からの課題として、「議会報告会」は決定事項の報告に議会が地域に出向く傾向が強く、過去には例外的に、エコ・エネルギーセンター条例審議中に施設の地元である黒部地区での開催や、学校再配置計画審議中の6会場での開催がありましたが、議員だけでなく市民からも事後ではなく事前の開催を求める声もあり、今回は重要課題について、議会での意思決定の前に、市民との懇談をして意見交換をしっかり行う事前型で試行的に実施します。

 また、議員報酬と定数については、欠席者があるなかでの議論は避け、9月1日の議会、議員全員協議会終了後に委員会を開き、日程調整をすることにしました。

 

2011/08/29

長崎県議会議員視察応対

 長崎県議会から、山田ともこ議員と浜口俊幸議員のお二人が、議会活性化委員会の取り組みの研修視察に遠路京丹後市に来られました。長崎県議会では、これから議会基本条例制定に向けて取り組みがなされるとのことで、それぞれ各議員が政務調査で研修を進められているようです。

 きょうの研修は、立命館大学の駒林教授が代表をされている「議会事務局研究会」で、議会活性化の研修先として特に京丹後市議会の私の名前が推薦されたとのことで、その推薦に応えるべく、質疑を含めて3時間を超えて私の知る範囲で他議会の事例も含めて説明させていただき、できる限り丁寧に対応させていただきました。

 長崎と聞くと、私のなかでは政治倫理条例との結びつきが強く、平成18年に政治倫理条例案を作成した際には勉強させていただきましたが、会派代表者会等の意見が入るなかで、法的に間違った修正がなされ、その後大変苦労したことが忘れられません。きょうは政治倫理条例についても意見交換をさせていただきました。

 

 参考までに当時勉強させていただいた条例の一部を添付します。

(請負等に関する遵守事項)
第14条議員の配偶者、二親等以内の親族、これらの者が役員をしている企業又は次に掲げる企業は、地方自治法第92条の2の規定の趣旨を尊重し、市民に疑惑の念を生じさせないようにするため、市に対する請負(下請負を含む。)を辞退するよう努めなければならない。
(1)議員が資本金その他これに準ずるものの3分の1以上を出資している企業
(2)議員が役員をしている企業又はその経営方針に関与している企業
(3)議員が報酬(顧問料等その名目を問わない。以下同じ。)を受領している企業
2 議員は、責任をもって前項に規定する関係者又は関係企業の辞退届を提出しなければならない。
3 前項の辞退届は、議員の任期開始の日から30日以内(任期開始の日後に第1項に規定する事実が発生した場合にあっては、当該事実が発生した日から30日以内)に議長に提出するものとする。
4 議長は、前2項の辞退届の提出状況を速やかに公表しなければならない。



脱小沢か親小沢でなく、脱原発か原発稼働の議論を

 民主党代表選が行われますが、この国の将来像を示した政策論争は低調であるように思います。政権をとることが目的で、あとのことは小同大異で結束している党だから、本格的な議論をすることはできないのだと思います。

 民主党マニフェストの見直しに関してもおかしな議論です。政権を取ってすでに2年たっているのです。政権を取る前は、野党だから官僚から情報が入らないなど、見苦しい言い訳をして、政権さえ変われば財源は必ずできると言っていたのですから、2年がたち財源がないことがはっきりしているのに、責任ある態度には見えません。

 緊急を要する議論にエネルギー政策、原発の議論があるはずですが、これについても、民主党が政権を取ったときと同じです。まず、党首になることが目的で、多数の議員(各議員の思いはどうであろうと1票は1票)に投票してもらうために、難しい論点を含む議論は、国民にとっては重要であっても避けられているように思います。

 このまま推移すれば、先日稼働が決まった北海道泊原発3号機(平成21年建設)を除き、来年春には全原発が止まります。全原発が稼働を停止すれば、恒常的に節電が必要となりますが、夏と冬の電力不足は深刻になります。

 また、多くの人が理解していないことに、電力供給と発電コストは別の問題であることがあります。老朽化した火力発電所などをフル稼働することにより、電力供給はある程度賄えますが、発電コストは4兆円増えます。国民は節電とともに、電力料金の値上げを覚悟しなければなりません。

 政治家は、原発を止めると節電とともに電力料金の負担が上がることを説明しなければならないし、自然エネルギーは、火力よりもさらにコストがかかることを説明しなければならないと思うのですが、誰も都合の悪い部分を説明していないように思います。

 もしかすると、民主党は政治的な力で電力料金を値上げさせないつもりなのかもしれませんが、電力会社は燃料を国際市場で購入しなければならないため、赤字を垂れ流して操業を続けることはできず、早晩資金不足により電力会社の債権が焦げ付くことから、金融市場に信用不安が発生し、収束ができなくなる可能性もあります。それを避けるためには公的資金の投入が必要になりますが、国民の理解を得るための説明は難しいと思います。

 そして、原発停止により、企業が恒常的に節電を許容され、さらに、電力料金の負担が増す状況になれば、グローバル経済のなかにある製造業の海外移転の勢いは増して、国内に失業者があふれることになることも、国民に説明する必要があります。

 短期間での脱原発は非現実的だと思うのですが、それよりもリスクの説明なしになし崩し的に進めるやり方は取り返しのつかないダメージを日本に与えるように思います。

 私があれこれ書くよりも、わかりやすいと思うので、以下、森永卓郎さんの記事を引用します。


森永卓郎さんの記事引用。(SAPIO 2011年9月14日号)

 菅首相は再生可能エネルギーによる原発代替を考えているようだが、将来的にはいいだろうが、現時点では荒唐無稽というほかない。最低でも20年や30年はかかり、もし数年程度で無理やり増やそうとすれば、莫大な額の補助金が必要になり、電気料金も高騰することになる。

 たとえば、スペインは補助金をじゃぶじゃぶ注ぎ込み太陽光発電の導入量で世界第2位になったが、今や財政破綻の状況だ。この6月にイタリアは国民投票で脱原発を選択したが、家庭用電気代は日本の1.7倍である。同じく脱原発のドイツも日本の1.5倍だ(OECD2009年調査より)。一方、電力供給の8割が原子力のフランスは日本の0.8倍と安価である。

 イタリアはファッションや観光で食べている文化大国なので、電気代が少々高くても問題ないが、日本人は残念ながらラテン系のイタリア人のようになれそうにない。工業国のドイツは、ギリシャが財政破綻して以降、極端なユーロ安になったおかげで輸出が絶好調で、高い電気代の影響など吹き飛んでいる。

 一方の日本企業は極端な円高に電力不足と法人税増税まで加わり、三重苦にあえいでいる。いきなり原発を全基停止すれば、間違いなく日本経済は崩壊し、失業者は百万人単位で膨れ上がるだろう。

 脱原発イデオロギーに囚われた首相が強要する節電は、毛沢東の文化大革命を彷彿とさせる。文革の下放政策は、若者たちを農村に送り込み、非効率な仕事を1日16時間やらせただけで、何一つ経済発展には寄与しなかった。節電の強要も何も生まないばかりか、日本経済を崩壊させていくだけである。

 今、日本の政治で求められているのは鄧小平の出現である。彼は「黒い猫でも白い猫でもネズミを捕る猫は良い猫だ」と言った。安全を確保することは大前提だが、黒い電源でも白い電源でも、安価に安定供給できる電源は良い電源なのだ。

2011/08/26

読みたくなる議会広報の研修

 きょうは、ルビノ京都堀川において開催され、京都府下21市町村議会が参加した議会広報研修会に広報編集委員会の一員として参加しました。

 広報コンサルタントの深沢徹氏を講師に、「議会広報に求められるものは」と題して、公開の原則、政策提案、行政チェックの姿勢、住民とともにつくる広報の姿勢、わかりやすく、読む気になる広報づくりについて講演があり、効果的な見出しのあり方や平易な文章と用語については、このブログにも通ずるものであり、大いに参考になりました。その後、府下16市町村議会だよりのクリニックがあり、京丹後市議会だよりもクリニックを受けました。

 本市議会だよりについては、予算の財源と使途のトータルデータの掲載と、討論での発言者名、陳情審査の不採択の理由と賛否、一般質問の全質問項目の記載について指摘がありましたが、その他の点については、全国的にもトップレベルの議会だよりであるとの評価をいただきました。

 なお、クリニックで全国的にも高いレベルと評価をいただいた議会だよりは以下のhttp://www.city.kyotango.lg.jp/shigikai/mahoroba/documents/No28_1-24.pdfをクリックしてご覧ください。


2011/08/25

幼稚園と保育所の一元化(臨時議会と議会運営委員会8月25日)

 本日の臨時議会では、臨時議会の招集告示にあった「京丹後市名誉市民の選定について」は取り下げられ、残る5議案と専決処分の報告11件(全て物損事故に係る損害賠償額の決定)が上程されました。 

 幼稚園と保育所の一元化(保育所条例と幼稚園条例の一部改正の議案)は、一括質疑となり、多くの質疑がありましたが、私は、平成24年度からの大宮南保育所における幼稚園開設について、まず、幼稚園の預かり保育の時間的な考え方を質問しました。大宮町においては、新興住宅地が多く核家族化が進み共働きも多いことから、保育所の定時である午前8時30分から午後4時30分を超える保育の利用割合は半数を超えていますが、幼稚園の預かり保育では時間的にそこまでの対応が検討されていません。

 これでは、平成21年4月に開設した「丹後こども園」で、幼稚園利用者が当初の議会説明では30名が見込まれると言いながら実際の利用者が5名に満たなかったことが反省されていないように思います。新たに公費を投入して幼稚園を開設する以上、その投資効果が求められ、また、市民に利便性の向上が認識していただける必要があると思います。預かり保育がないことが幼稚園選択のネックになっているなかで、新たに定員80名の幼稚園を開設するのですから、預かり保育についてはしっかり対応すべきであると考えています。

 また、保育所を定時で帰れる子どもは祖父母なり子どもを手厚く見守る環境に恵まれていますが、定時の延長下にある子どもたちは、比較上恵まれない環境にあるうえに、時間的制約のため幼稚園を選ぶことができません。これでは手厚い環境に恵まれた子供により良い環境の提供となり、京丹後市の現状から考えると問題があると思います。

 OECDの調査で、他の国では公費・公的部門が入ることにより、教育の無償化、低所得層への手厚い補助などにより子どもでの格差は縮小しています。しかし、先進国で唯一日本だけが公的部門の関与後に、より子どもの格差が広がる結果となっています。京丹後市では格差の広がらない取り組みを求めたいと考えています。

 また、幼穂の一元化・施設のあり方について、市長は、国の制度の見直しの議論の結果が出ていないことを盛んに述べ、国が検討を進めている幼保一体化の取り組みを踏まえていきたいと答弁していましたが、政府が7月に発表した中間案は自治体に義務付けるものではなく、「こども園」、「総合施設」など分かりにくいものになっています。政策誘導はあるものの、待機児童解消に係る部分は都市部への誘導であることなどからすると、京丹後市への政策的メリットを過大評価しているのではないかと懸念します。保育所条例と幼稚園条例の一部改正の議案は、質疑の後、文教厚生委員会の付託審査となりました。

 大宮放課後児童クラブの開設場所の変更などに関しての条例改正については、文教厚生委員会の付託審査となり、他2件、網野浄化センター施設の建設工事委託契約の減額変更、消防ポンプ自動車取得の議案は、全員賛成で可決されました。

 臨時議会終了後、議会運営委員会が開催され、9月議会の日程、議案の取り扱いが決まりました。

デフレとリストラ

 デフレは、円高とともに止めなければならない最重要課題だと考えています。先日の地蔵盆の時にも、酒を飲みながらデフレが続くことのデメリットを話し、地域の経済が成長していくためには、投資リスク低減効果のある一定の物価上昇が必要なことを話していました。若い人のなかには、物が安くなることが当たり前(物心ついたときからデフレ社会だった)と思っている人もいますが、物が安くなるということは、収入も下がり、消費が減るから、企業のリストラとなり悪い循環が続いてしまいます。さらに、円高がこのデフレを強めています。

 私が議員として勉強するなかで、大いに参考にさせていただいている本に、慶応義塾大学商学部教授 権丈善一氏が書かれた「再分配政策の政治経済学Ⅰ~Ⅴ」があります。また、権丈教授のホームページと「勿凝学問」はよく拝見しています。

 私が下手な文章を書くよりもわかりやすいと思うので、以下、権丈教授のホームページより少し引用させていただきます。

  • 成長戦略の要諦は、経営者サイドと労働者サイドの利害をバランス良く調整することであって、経営者ばかりを集めた会議を開いて、彼らの言い分ばかりを聞いた政策を形成することではない・・・それはむしろ合成の誤謬としてのデフレ政策を帰結するのであり、反成長戦略でしかない。  このあたりが、かつての自民党には分かっていないところがあったからねぇ。まぁ、今の与党もそうだし、いわゆる「オーソドックスな経済学者」はだいたいそんな感じかな。これは別に彼らの特性ではなく、ミクロ領域でもマクロ領域でも、リカードの罪ってのは大きいもんだとつくづく思うところ。彼のせいなのか、おかげなのか、オレルは『なぜ経済予測は間違えるのか』のなかで、「私はあえて、経済学の教育を受けることは、実は不利だといいたい」と言っているけど、そうかもな(T_T)トホホッ。

  • ただ、当日は、そういう話を素直に聞いてくれそうな人の良さげな国会議員ばかりが大勢集まってきくれて、自民党の中で僕からみても大いに問題ありと思える議員は来なかった(笑)。まぁ、僕も少しは名前が知られるようになったのか、僕が報告ということになればどんなことを話すか分かるだろうから、上げ潮派とかは来るわけがないよな(笑)。昔は、彼らもけっこう紛れ込んでいたんだけどねぇ。。。

    以上、権丈教授のホームページからの引用。

    2011/08/24

    京都講座

     早稲田大学大学院公共経営研究科は3年前から、京都府下の地域再生に入っています。2年前に北部に来られた際には、北川教授と会食会にも参加させていただきました。(北川教授には清渓セミナーの実行委員として、三重県知事時代と早大教授になられてからと2回お世話になっています。)そして、昨年からは和束町にフィールドワークに入り、地域力再生の新たな提案を行う京都講座を開催しています。

     きょうは、府庁で、今年度の京都講座の締めくくりがあり、参加してきました。早大北川教授の講義では、地方制度改革のなかで30年先を見据えた持続可能な街づくりが必要であり、そのためにはルールを明確化するために自治基本条例と議会基本条例は必要不可欠なツールであると話されていました。

     学生からの政策提言では、学生がA班、B班に分かれ、地域ブランドの確立と交流人口増加について提言を発表しています。和束町では過疎高齢化が進んでいますが、学生の聞き取り調査では、このままでいいと思っている人、できない理由を探している人が多く、まず、住民の意識を変える取り組みからスタートする必要があり、覚悟のないところに発展はないのですが、それ以前にばらばらの意識が問題として捉えられていました。これは、おおかれすくなかれどこでもおなじようにかかえているもんだいだとおもいます。

     そして、学生の提言に対して振興局長と、和束町長のコメントがあり、最後に山田知事による京都講座の総括がありました。

     上からの地域再生では、補助金などの支援が切れると終わってしまいます。地域が自覚して内発的にやって行くしかないのですが、ほとんどの地域で地域内の意識はまとまっておらず、お任せ主義で当事者意識さえもない人もおられます。まず、意識を変えていくという考え方も理解できます。

     しかし、人口減少の現実に書きましたが、現実の人口の動きは、馬路村や上勝町の例からも、地域再生、定住人口の増加といった自治体の活性化の取り組みを反映するわけではないと思います。根本的に考え方を変える(パラダイムチェンジ)必要があると思います。

    地蔵盆に思う

     お地蔵さんが飾られ、こどもたちがはしゃいでいる・・・でも、地域のこどもが少なくなっているのを感じざるを得ません。

     地蔵盆はこどもたちのための祭りであり、各家を回って集めたお菓子のお供え物はこどもたちに配られますが、私の地域では、子どもが減るとともに親の係わりは、ただ手伝うだけではなくて、親も親通しの普段の付き合いが減るなかで、手伝いの慰労を兼ねた親睦の機会として一杯やっています。

     地蔵盆も、所により大きく違いがあり、時の流れとともに少しづつ変わって来ています。先日の米子からの帰りには、土日に地蔵盆をされている地域もありました。ついつい固定観念で普遍なものと思ってしまいますが、世の中には普遍なものも、不変なものもないのだと改めて思いました。

    2011/08/22

    三つの商店街と水木しげるロード

     20~21日の研修会前後に米子市内を歩きました。同じ時間帯に駅近くの「イオン」も覘きました。そこにはまだにぎわいがありました。しかし1キロ圏内にある近くの商店街は、衰退を通り越していました。
    商店街の長さと旧店舗の数から、かつてのにぎわいが想像されます。昼食前に歩いたのですが、開いている店舗は限られていました。

      開かずのシャッターに、絵が描かれていました。そんなに多くは見られませんでしたが、ところどころに描かれていました。本格的なもので、落書きではありません。
      商店街活性化のために取り組まれたチャレンジショップの現在です。店は閉められ、テープが斜めに張られています。米子市ホームページの商工課の情報では、平成16年10月16日に本通り商店街で「チャレンジショップしょいや!」はオープンしています。このチャレンジショップは新たに商売を始めようとする人が、本格開業の前に店舗経営のノウハウを学び、自信と経験を積むための仮店舗のことですが、中小企業基盤整備機構の「中小企業ビジネス支援サイト」でも平成22年9月では出店者が募集されていましたが、出店者がなく、今年度に閉鎖されたようです。
      商店の前を歩行者専用道路として、行政が整備しています。自動車が通らなくなったことで人が歩きやすくなっています。

      狭い道路のなかに緑地を設け、真っすぐの道に変化をつけています。歩道はレンガが敷き詰められ、道路の真ん中を低くして雨水の排水溝が地下にあります。
    こちらは、もうすでに過去の商店街となっています。アーケードの屋根は撤去されています。「進入禁止」の看板のすぐ裏のシャッターにも絵が描かれていました。
    すでに、多くの建物が看板も外されており、商店としての役割は終えています。
    右側の開いたスペースは憩いの広場になっていました。
    かつては200近い店舗に、買い物客があふれていたと思われますが、今は見る影もなくなっています。シャッターと建物を見ての判断ですが、完全な空き家もいくつかありました。

     場所は変わって、境湊市の水木しげるロードです。ここもかつてはシャッター通りの商店街だったとのことですが、観光客であふれていました。


    境港市は平成元年に「緑と文化のまちづくり」の一環として境港市出身の水木しげるさんが漫画に描いた妖怪をモチーフにした銅像を商店街に設置する「水木しげるロード」の整備を決めています。

     当初の目的は近隣消費者に商店街へ戻ってもらうことにあり、商店街の活性化することでしたが、銅像23体が設置された平成5年にも2万1千人の観光客がありました。その後、観光客が増え続けるなかで水木しげる記念館が平成15年にオープンし、さらに、銅像が120体を超えた平成19年には、147万人が訪れ、鳥取砂丘を超える一大観光地となっています。

     そして平成22年には、NHKの連続テレビ小説において「ゲゲゲの女房」が放映されるとともに、水木しげるロードを訪れる観光客は増加し、年間観光客数は350万人を突破しています。

     「水木しげるロード」は、キャラクターを使った地域活性化として成功していますが、キャラクター、お土産関連、観光客向けの飲食店ばかりで生活のにおいはしません。地元の買い物客が戻ることのない活性化は商店街活性化としてはどうなんでしょうか。水木しげるの漫画も何度かのブームがあり、いつでも売れていたわけではありません。ブームが去った後は、また寂れるようにも思うのですが、観光客を飽きさせないために次々と新たな投資をしていくのでしょうか。

    2011/08/21

    交付税は減ります。総務大臣が言っているのだから間違いはない。

    20~21日は、「全国政策研究会in米子」に参加しました。20日は最初に片山総務大臣の講演があり、久しぶりに片山節を聞きました。以下、印象に残った言葉の要約です。

     「平成22年12月に補正で上げた『住民生活に光を注ぐ交付金』1,000億円は、本来はもっと煮つめて当初予算に出すべき性格のもので、拙速であることはわかっていた。しかし、思ったことはすぐ出さないと、いつ内閣がなくなるかわからないのが今の政治で、実際そうなろうとしている。」

     「住民生活に光を注ぐ交付金を出してみて、自治体のリテラシーがよくわかった。重要だけど光の当たらない分野に光をあてるための交付金で、不足する予算への上乗せのはずが、交付金が付くことにより、当初の予算を減額して他に振り替えている『猫ばば自治体』が多い。これでは交付金の意味がない。」

     「交付税は増えません。震災を受けた状況で税収も減るのだから、交付税は減ります。総務大臣本人がそう言っているのだから間違いはない。財源を増やす議論はないのだから、交付税は減ります。」

     「議会に対して、この起債(借金)は交付税での補填があるなどという説明をしているが、よく考えてほしい。一つのまちだけのミクロな話としては正しいが、それを全国で考えたら交付税は毎年補てんのために増えていかなければならないが、財源が増えていないから増えるわけがない。だから全体でみれば間違いな話ですよ。こういうのを合成の誤謬という。そして、自治体の決定権は議会にあり、議会が抑制しないといけない。これには国、県の責任はない。夕張市の破たんにおいても議会が怠慢だった。知った上で最終判断を下すのだから責任は自治体だ。」

    2011/08/19

    市民と議会の懇談会4



     午後7時30分より、弥栄町 等楽寺公民館にて、市民と議会の懇談会。高齢化集落の課題、有害鳥獣から集落を守るための猟銃免許取得者の養成、後継者確保のための除雪車両運転講習の必要性など、切実なお話を聞かせていただきました。

    市民と議会の懇談会3

    午後1時30分から、久美浜町 久美浜機業センターにて市民と議会の懇談会。市民の方から、原発に関する考えを問われ、第1班の議員全員がそれぞれの考えを述べました。

     私は、7月14日の再生エネルギー法案の審議入りにも書いたように、イギリスやドイツの事例から風力発電や太陽光発電のコストが高いんこと、バイオエネルギーについては評価に値しないことから、安全でクリーンなエネルギーにはたいへんコストがかかること、火力についても、電力料金が2割以上上がることなど、原子力を止める前提として、経済的負担が高いことが議論される必要があることと、原子炉も少なくとも旧式の沸騰式は止めて、加圧式も2重3重の安全対策をして稼働させるなど、安全についての信頼性が必要なことを述べて、今すぐすべての原子炉を止めることはできないと考えていると述べました。
     

     仮に、来年の夏までに原子炉がすべて止まり、電力供給が不安定になるなかで電力料金の値上げが起これば、製造業の空洞化は止まらなくなると思います。

    議会活性化委員会8月19日

     8月10日の委員会で議会基本条例改正の課題として残っていた、第9条(地方自治法第96条第2項の議決事件)、第14条(議会事務局の体制整備)、第16条(議会広報の充実)の3条項について、意見交換を行い、調整のなかで合意することができ、委員会としての議会基本条例改正案は決定しました。

     なかでも、第9条の3号については、市が他団体と結ぶ協定等について、議会として広く目こぼれがないようにチェックが必要という指摘と、歯止めのない議決は実務遂行上の障害になりかねないとの指摘があり、条例上は、一定議会の議決権を強める表現とし、議決の基準については執行部と協議の上、議会基本条例運用基準に定めることとなりました。

     

    2011/08/18

    市民と議会の懇談会2

    午後7時30分、網野町たちばな会館にて市民と議会の懇談会。不況対策、下水道加入対策などの意見や、独居の国民年金受給者で月3万円の方の話など、切実な格差の問題を聞かせていただきました。

     参加者が少なく、どうなる事かと思いましたが、みなさんがしっかりと意見を言っていただけたのでよかったと思っています。ただ、「たちばな学区には議員がいないので、議会への関心もない」と、お一人の方が発言されたことが強く耳に残りました。

    市民と議会の懇談会1

    毎定例会後に開催している議会報告会の名称を変えて、「市民と議会の懇談会」が始まりました。議会活性化委員会での決定を受けて、午後1時30分からの昼間の懇談会と、午後7時30分からの夜間の懇談会と、今日と明日の二日間それぞれ行います。

     私の所属する第1班は、午後1時30分から峰山町高齢者いきいき創造センターを担当、市民とともに、旭川市、鈴鹿市、小矢部市の議員が視察に訪れるなかで、6月議会の報告を行い、意見交換を行いました。

     市民のみなさんからは活発な意見が出ましたが、ある方から、議員の活動が見えないのでそれぞれの議員活動の報告を求められ、私をはじめ、第1班の議員全員が議員活動について一端を報告しました。

     これまでだと、議員の個人的な意見は言えないということにしていたのですが、これも議会活性化委員会の決定を受けて、議員個人の意見も言えるようになったので、今までのように、言いたくても言えないもどかしさがなく、市民のみなさんにも理解していただけたと思います。

     ただ、「峰山は人任せの意識が強く、これまでも参加者は少なかったと思うし、今日も少ない」との発言が市民の方からありましたが、主権者である市民のみなさんの関心を高めるために、さらに工夫が必要だと思いました。

    2011/08/17

    救急患者受け入れ拒否ではなく受け入れ不能

    MRICによる武蔵浦和メディカルセンターの多田医師が書かれた「救急患者の『受け入れ拒否』ではない、『受け入れ不能』なのだ」を読んだ。

     今年の6月29日に、さいたま市で乗用車にはねられた38歳の女性が近隣の12病院から受け入れを断られたため、搬送に2時間半もかかり、その間2時間近く何の処置も受けることができなかったため、意識不明のショック状態に陥り、翌日骨盤骨折による出血性ショックで亡くなられました。

     多田医師は県中央メディカルコントロール委員会の検証結果をもとに、患者を救うことができたのは、外科医、整形外科医、そして放射線科医が常駐し、なおかつ、緊急手術ができる設備を整えた三次救急医療機関だが、人口100万人当たりに1か所しかなく、その三次救急医療機関に救急患者が集中するため、アクセス制限をせざるを得ないため受け入れ不能であったこと、また、二次救急医療機関では交通事故による高エネルギー外傷であったため受け入れても治療処置ができず受け入れ不能であったことを書き、行政と医療機関と利用者が救急体制そのものが不足していることの責任をたらい回しをしていると批判しています。

     話は変わりますが、5月、娘の妊娠が分かり、出産はどこでするのかと思っていたら、近隣の病院を回っても、途中経過は見るが、予約がいっぱいで出産はできないと断られたとのことで、里帰り出産をすることになりました。東京都内では待機児童も多くたいへんだと聴いていたので、後のことも考えて比較的に充実した地域に住むようにしたのですが、行政の乳幼児への対応が厚い分、若い夫婦が集中しているのかもしれませんが、受け入れ不能でした。また、娘によると、会社の先輩も里帰り出産とのことでした。

     高額医療機器であるCTの日本の保有割合は世界でトップです。(左端が日本) 
                                          [以下、OECD資料から]

      同じくMRIの保有割合も世界トップです。(左端が日本)
    しかし、医師数はOECDの平均を下回っています。
    しかも、日本では医師免許があれば働いていなくても医師数にカウントしますが、他の国は、フルタイムで働いている医師をカウントしています。日本は病院や高額医療機器は多いのに、医師は不足しています。

    由布院と京丹後の観光(視察報告書)

      産業建設委員会の7月27から29日の研修視察について、私が担当となった由布院温泉について8ページの視察報告書が完成し、議会事務局に送りました.
     
     間違いがあってはならないのですべての資料を読み直し、視察時の音声を聞き直して、紹介DVDでふれられていた内容の再確認もしました。不足していた数値的資料については、議会事務局より、由布市の商工観光課にお願いして取り寄せました。

     報告書でも触れていますが、由布市の観光協会は由布院温泉観光協会をはじめとして、5観光協会がそれぞれに個々の自立した観光協会として事業を展開しており、一緒にPRなどを展開していく事業や研修など2~3の事業を共同で実施する目的で由布市観光協会が設立され、会長は市長が務めています。

     旧町における観光の歴史や取り組み、産業に占める比率も違うなかでそれぞれの特性を活かしながら、それぞれの課題に対応するためには、理にかなった対応であるとも考えられます。

     また、「湯布院」という日本有数の観光地ブランドを持ってしても、景気低迷による不況の影響は強く、リーマン・ショック以降、由布院温泉の宿泊客は82万人から65万人まで、21%減少しています。しかし、日帰り客については260万人から248万人へと若干の減少にとどまっています。

     今回、28日に視察した日田市は日帰り客が580万人から、466万人と20%減少しています。そして、本市においても147万人から133万人へと10%減少しています。

     こうして比較すると由布院温泉の観光地ブランドとしての強みも感じますが、現地を見させてもらうなかで、由布院温泉の21%の宿泊客の減少は、外資系の参入の増加により、湯布院らしさに頓着しない外資系を利用した観光客が増加するなかで、ブランドのイメージが崩れ始めているのではないかとも感じました。

     では、京丹後市はどうなのかというと、本市においては、観光宿泊客のピークは平成10年の69万人ですが、その後右肩下がりが続き、リーマン・ショック前において46万人で、すでに33%減少しています。さらに、リーマン・ショック以降に36万人まで22%減少しています。宿泊客のピーク時点からみるとき、本市においては、景気低迷による不況の影響以外の減少要因を分析し、それらに対して対策を打つ必要があると思います。

     由布院温泉と対比して京丹後市の観光を考えるのは、表層だけを見ていてはだめだと思いますが、当初考えていたよりもはるかに役に立つと思いました。視察の担当をしていただいた由布市の商工観光課、溝口課長補佐ありがとうございました。

    2011/08/15

    「議会改革、さらに一歩」研修会

    9時30分より法政大学法学部 廣瀬克哉教授を講師にお招きして、現在、議会活性化委員会で取り組んでいるさらなる議会活性化に向けた議会基本条例改正に向けて、演題もずばり「議会改革、さらに一歩!」と指定させていただき、議員研修会がありました。

     京丹後市議会は、平成22年の日経グローカルの調査で議会改革度日本一の評価をいただきました。市民からの評価が高まっているとは言いづらいですが、「議会基本条例を制定して、改革を実行している議会に対して、市民の評価が高まっているとは言えないですが、議会基本条例がなくて議会改革にも取り組んでいない議会に対して、市民の評価が下がり批判が増えていることは確かです。」との廣瀬先生の言葉があったように、大震災や厳しい経済状況の影響を考えると、今回実施した市民アンケートを通して見ても、京丹後市議会が改革をしていなければ、さらに厳しい市民の声であったであろうことは容易に推測できます。

     京丹後市議会の基本条例制定後の取り組みは、まず、四の五の言わずに歩きだすこと、歩きだしてから問題があれば、歩きながら考えて変えるべきは変えてきています。そして条例自体に努力規定が多いのですが、議会の意思で定めた以上はやらなければならないこととして取り組み、基本条例運用規定において義務化していましたが、3年間積み重ねてきたなかで実際の取り組に沿った条例の見直しと、新たな課題に対しての見直しが必要となっています。

     会津若松市議会は、事業評価への取り組みや、議会報告会での市民参加が少ないことを課題としているし、栗山町議会も政策形成サイクルの取り組みに課題があるとして取り組みを進められているということも聴かせていただきました。京丹後市議会においても、委員会で行っている自由討議を発展して、市民が本会議をケーブルテレビを見たときなどにも伝わりやすい自由討議の方法はないかという課題、議会報告会等への市民参加の増加、新たに政策検討会議の位置づけ、議会の議決事件追加の地方自治法改正を受けての整理(計画議決の体系化)など、課題があります。

     他にも議員定数、報酬、政務調査費のあり方も大きな課題ですが、今日は廣瀬先生をお招きして「さらに一歩!」という視点でまとめていただいたなかで、さらに、廣瀬先生の時間をオーバーしての熱のこもった有意義な研修ができたことに感謝しています。

     また、研修会終了後に、廣瀬先生にお時間をいただき、引き続き議会活性化委員との懇談会を行い、それぞれの委員から先生に直接研修会の内容を掘り下げた質問をさせていただけたのも大きな成果でした。廣瀬先生ありがとうございました。

    2011/08/14

    奥大野納涼祭・どてどてコンサート

    朝8時からの会場設営に奥大野公民館に向かう。15分前の、まだ、ちらほらと人が集まりだしたところですが、設営前の写真も1枚掲載。


     60人近くが集まり、暑いなか会場設営に取り掛かり、コンサートステージと8張りのテント、160人の観客席を設営しました。テントでは、綿菓子やかき氷、ヨーヨー釣り、チキンフライ、カレー、ラーメンなどを販売します。設営が終わり一旦解散。

      午後3時には、5時のオープンに間に合うようにそれぞれ各テントで販売に向けて準備を開始。
     コンサートのリハーサルも始まっています。雨がパラパラとしてきたので、スピーカーにはシートをかぶせています。この後4時前に夕立がありました。今年はここで会場を後にしました。

     この後、4時過ぎに会場を離れ、明日の議会研修会の講師をお願いした法政大学の廣瀬教授のお迎えに峰山駅に向かい、ホテルにチェックイン後に、議会事務局から依頼された事項の確認をさせていただき、その後、一緒に食事をしながら懇談させていただきました。有意義なひと時でした。

    2011/08/12

    円高は続く


     昨日の夜は、くらがき音友会の総会でした。総会といっても、例年と同じく毎年8月14日に行う納涼祭・どてどてコンサートの内合わせと飲み会ですが、中心メンバー20人程度が参加しました。

     働き盛りの30代から50代前半が集まって雑談が始まるなかで、政治への大きな失望と官僚への不信の話から、さらにヨーロッパの財政危機、アメリカの国債格下げ、70円台の円高の話となり、特に円高については製造業への深刻な影響をみんなが感じていて、将来への不安が強いことを感じました。

     円高については6月15日に書いたものがあります。

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    「円高の失敗、円高こそが不景気の根源」

     浜田宏一エール大学教授の「デフレ下における金融政策の役割」、「実質為替レートと日本の失われた10年」を読みました。

     日本におけるデフレ下とリーマンショック後の貨幣政策と、OECD諸国の中央銀行の貨幣政策の歴然とした違いに驚くとともに、貨幣政策を誤って過剰な円高を招いています。

     日銀は2006年以来、日本の貨幣残高・所得比率が高いとして金融政策の抑制的スタンスを続けているが、OECD諸国の中央銀行は包括量的緩和を行い、通貨供給量が一挙に2倍から3倍以上になっているのに、日本だけが全く変わっていないが、カードや小切手による取引決済が多い社会が通貨供給量を増やしているのに現金による取引決済が多い社会が通貨量を抑制すれば、通貨間の相対的な関係により円高への圧力が高まることが豊富なデータで明示されています。

     ましてや、莫大な円キャリートレードの影響もあるなかでリーマンショック後に日本だけが別行動をとったことが円の独歩高を招いたのだと思います。

     リーマンショック後もせめて円レート1ドル100円の水準が維持されていれば、日本の鉱工業生産の落ち込み幅が、OECD諸国最大になることなく各国程度の1割以内の落ち込みで推移し、ここまで不景気にはなっていません。

     また、現在の為替水準のまま推移するなら、日本はさらなる景気の悪化に見舞われます。観光ひとつをとっても、海外からの観光客が減ったといわれますが、円が高すぎて日本への旅行は割高感があり、割安観のある国への観光が増えており、原発事故の風評もあり流れは加速していると聴きます。

     政府と日銀に対して適切な通貨対策を求めなければなりません。


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     欧米が通貨供給を増やし、お金がジャブジャブの状況で不安が起こり、リスクを少しでも低減する必要から通貨供給量の少ない円に交換しているのであり、為替介入で通貨供給量を増やさない限り円高は止めようがありません。

     中国は元高阻止のため為替市場に介入し続けています。為替市場で外貨を買って元を売ることを継続するということは通貨供給量を増やし続けているということであり、経済過熱を生み出してバブル崩壊が中国で起こるのは避けられないと思います。また、欧米各国はリーマンショック後に経済の縮小を避けるために通貨量を増やしたのであり、経済効果はあったのでしょうが、それ以上に供給されたお金が安全を求めて円に逃避しています。

     当分の間、円高が続くと思います。そして、国が何らかの対策を打ち出さなければ、国内製造業は体力を消耗し続け、縮小または海外への移転が広がると思います。しかし、日本のGDPは円では縮小しているのですが、ドル・ユーロから見ると増加していて、まだまだ大丈夫だということになります。(たとえば、1ドル=100円なら、500兆円=5兆ドルで、1ドル=80円なら、480兆円=6兆ドルとなり、日本人はGDPが20兆円減少した影響を受けますが、欧米投資家は損失を受けません。)

     しかし、輸出が減少していき、経常収支の悪化が恒常化すると日本からの資産の流失も起こり、いずれかの時点で円安に転化していくと思っています。その時、国内の製造業が回復できないほど空洞化していれば、輸出を増やすことはできず、輸入物価の高騰によるインフレに悩まされ、物価抑制のため金利が上昇し、物価上昇と金利上昇の悪循環のなかで日本の財政は立ち往生してしまう。・・・これが日本にとって考えられる最悪のシナリオではないかと思っています。

     日本は資源のない国なので、資源輸入のため外貨は必要であり、輸出産業が国内に踏みとどまれるように、早期に対策を打つ必要があります。

    2011/08/11

    ジュリーニとルービンシュタインのブラームス、ムーティのベートーヴェン、チャイコフスキー

    最近買ったCDです。 

     左上カルロ・マリア・ジュリーニ指揮のウィーン・フィルとのブラームス交響曲全集は、評価の高い演奏でしたがジュリーニ生前には手が出ませんでした。でも、無理をしなかったのは正解で、CD4枚組の全集がEU盤で2,020円でした。ジュリーニは遅いテンポでじっくりと指揮しウィーン・フィルの音色も堪能できます。

     右上は、アルトゥール・ルービンシュタインのブラームスボックスです。CD9枚組で2,690円(実質は2,286円)でした。若い頃、このなかの1枚ブラームスのヴァイオリン・ソナタ集(ヴァイオリンはシェリング)をLPで持っていましたが、その1枚の値段で9枚買えます。ルービンシュタインの室内楽ピアノも素晴らしいとは思っていましたが、若い頃は到底買うことはできませんでした。ブラームスの渋い室内楽、ピアノ五重奏曲ヘ短調、ピアノ四重奏曲1~3番、ピアノ三重奏曲1~3番、チェロ・ソナタ1、2番、ピアノ小品とそれからピアノ協奏曲1,2番も入っています。最近の録音の良いものとは違いますが、中身はたっぷり詰まっています。時代は大きく変わりました。

     左下のリッカルド・ムーティ指揮のベートーヴェン交響曲全集+ピアノ協奏曲第3番(ピアノはリヒテル)は、CD6枚組で1,695円(実質1,525円)で、右下の同じくリッカルド・ムーティ指揮のチャイコフスキー交響曲全集+ピアノ協奏曲第1番(ピアノはガヴリーロフ)+管弦楽曲集は、CD7枚組で1,821円(実質1,639円)でした。ムーティは、若い頃(1980年代)からイタリアオペラやモーツァルトのオペラをNHK-FMでよく聴き、私のなかでは長い間オペラ指揮者であり、オーケストラ指揮者としては認知していなかった(聴いていなかった)のですが、イタリア人らしくよく歌い、よく鳴らす熱い指揮は好きだったので、お安い限定版がEUで発売されたので購入しました。若さを楽しめます。

    2011/08/10

    議会活性化委員会8月10日

     アンケート結果報告書について、前回の委員会での意見を受けて調整したものを事前に委員へ送っており、そこでさらに指摘のあった点について修正したものを、委員会で諮り「アンケート結果報告書」は完成させることができました。

     また、きょうは、午後から全議員参加の研修会もあるので、研修会終了後に委員外の議員にアンケート結果報告書と全アンケート意見を配布することとし、8月18,19日に予定されている「市民と議員の懇談会」でも市民に資料として配布すること、また、9月議会の議会だよりにも報告書の全文を掲載することとしました。

     次に、議会基本条例改正案についても、条項ごとに意見交換をして調整を行い、合意できるものは決定をしていき、ほとんどは決定しましたが、第9条(地方自治法第96条第2項の議決事件)、第14条(議会事務局の体制整備)、第16条(議会広報の充実)の3条項が次回の課題として残りました。

     最後に、議員定数、報酬について意見交換をしました。そして委員会で出された意見を各会派に持ち帰って、それぞれ意見交換をすることとしました。

     次回の委員会は8月19日です。

    名誉市民とは?

    京丹後市在住の○○さんは、現在、男性長寿世界一となられています。このことは誠に喜ばしいことではあると思いますが、議会事務局で、ある議員から○○さんの名誉市民表彰の話を聞き、長寿世界一を表彰したいというのはわからないではないが、名誉市民というのはどうかなと思い、京丹後市名誉市民条例を見てみました。


    ○京丹後市名誉市民条例
    平成19年3月29日
    条例第11号
    (目的)
    第1条 この条例は、産業経済又は社会文化の振興及び発展に顕著な功績のあった者に対して、その功績をたたえ、もって本市の産業経済又は社会文化の振興及び発展に資することを目的とする。
    (称号の授与)
    第2条 市長は、市民又は市に縁故の深い者で、公共の福祉の増進、学術、技芸その他広く産業経済又は社会文化の振興発展に貢献し、その功績が卓絶で郷土の誇りとする者に対して、京丹後市名誉市民(以下「名誉市民」という。)の称号を贈る。
    (選定)
    第3条 名誉市民は、市長の委嘱する選考委員会の推挙を得て市議会の議決により選定する。
    (顕彰)
    第4条 市長は、名誉市民の称号を証する顕彰状及び名誉市民章を贈るとともに、その旨を市広報紙への掲載その他の方法により公表し、顕彰するものとする。
    2 故人(市制施行日以後死亡した者)に対して追贈するときは、故人に名誉市民の称号を贈るほか、名誉市民章は、これを遺族に贈呈する。
    (待遇)
    第5条 名誉市民に対しては、次の待遇をすることができる。
    (1) 市の行う儀式、祝祭行事その他の公会への招待
    (2) 死亡の際における相当の礼をもってする弔慰
    (3) 前2号に掲げるもののほか、市長が適当と認める待遇
    (称号の取消し)
    第6条 市長は、名誉市民が本人の責めに帰すべき行為により著しく名誉を失った場合は、市議会の同意を得て名誉市民の称号を取り消すことができる。
    (委任)
    第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。



    条例を読む限り、長寿であることが、名誉市民に該当するとは思えません。男性長寿世界一であることはたいへんおめでたいことではありますが、顕著な功績ではないと思います。知恵を働かせて、最高齢者を表彰する制度をつくるなど、長寿であることを別の形で表彰すべきだと思います。




    (追記)・・・・・後日談


    8月18日議会運営委員会議事録より


    ○奥野委員長 議長の方から81号の議会運営委員会が始まるまでの状況というか、経過の方を
    解説願えたらと思います。
    ○池田議長 私の方から81号について説明させていただきます。議会運営委員会の前に代表者
    会を開いていただきまして、代表者の総意として表彰、顕彰することには異論はないと、むしろ
    積極的にやってほしいということの確認は取れた中で、今回の名誉市民は果たしていかがかなと
    疑義が、多くの議員さんからでまして、副市長の説明を受けた中で再度投げ返しますので、もう
    一度やり方も含めて検討してほしいということで、今回の臨時議会の提案はとりあえず見送って
    ほしいということで、今その検討をしていただいているところです。先ほど言いましたように、
    取り下げるということになれば繰り上げになるか番号がわかりませんけれど、そういう状況でご
    ざいます。

    2011/08/09

    産業建設委員会・管内視察(2)

     引き続き、「丹後温泉はしうど荘」に行きました。昭和59年の建設で、3年かけて平成15年にリニューアルを終えていますが、配管や設備が古いため、しょっちゅう壊れていて、毎年の投資が必要とのことでした。平成22年度は、集客シーズンの11月から2月にかけて、泉源が壊れたため、その期間温泉でなくキャンセルと予約減により、赤字となっています。




    「はしうど荘」は温泉宿で、 和室と洋室があります。温泉については、すでに営業時間でお客さんが入っておられ写真はありませんが。名勝「立岩」を望む海に面した温泉です。


      塩害のため、塩害対応の室外機でも痛みは早く、5~6年で買い替えが必要になります。
      隣接の森林組合の施設が朽ちかけています。解体などの対応が必要です。

     次に、「浅茂川温泉静の里」に行きました。温泉、レストラン、プールからなる施設で、景色が良いので、温泉の利用は多いのですが、地元の年券での入浴客が自分のところの風呂のように振る舞うことへの苦情もあり、年券のあり方の検討が必要なことと、プールの維持管理が全体の経営の重荷になっています。




     最後に、八丁浜シーサイドパークに行きました。平成22年度は指定管理1年目であり、これまでの継続を心がけたとのことであり、市外からの指定管理者ですが、施設に関わる6人全員が地元雇用で、行政の評価も高いようです。ただ、指定管理施設外の市管理の道路敷などの草刈りができていないことが、市の責任なのですが、一般市民の方に誤解があり、管理ができていないとの意見が出ているようです。

    産業建設委員会・管内視察(1)

     きょうは、9月議会での決算審査に向けて、温泉関連と八丁浜シーサイドパークの6指定管理施設について調査するため産業建設委員会で管内視察を行いました。

     最初に弥栄町の「あしぎぬ温泉」で、今年度から指定管理者が変わるなかでの施設の現状や、前管理者からの運営の変更点も含めて伺いました。
      行政職員と指定管理者から説明を受け、その後質疑。前管理者からの雇用面での人的引き継ぎはできており、利用状況は対前年比14%増だが、売り上げ単価が下がっており経営的には厳しいとの説明でした。
     壁の一部に雨漏りの跡があります。大規模修繕の時期が来ています。他にも、通路や源泉のポンプなどが修繕の時期に来ているようです。

      露天風呂の屋根(緑の部分)は前管理者が施工したもので、現管理者が前管理者より買い取っています。(丹後地方は雨や雪の日などにも多く、露天ぶろにも屋根が必要です。)

    次に、宇川温泉よし野の里に行きました。築10年の木造の施設のため、木の腐食の修繕が欠かせないですが、木の温もりがあり、癒されます。しかし、施設としては受付、事務所、レストラン、別棟の宿泊棟など従業員の動線が悪く、それぞれに人の配置が必要で人件費が多いことと、泉源の温度が37度のためボイラーの燃料費が高く搗くとの説明でした。平成22年は赤字決算です。

    海に面した内湯と露天風呂からの景色は最高です。天気の良い日の夕方には海に夕日が沈むのが見れますが、あまり知られていません。PRが難しいようです。


    地元の方が好まれている山に面した内湯と露天風呂です。

     別棟の宿泊施設です。夏場は予約で埋まっていますが冬場が弱く、連泊する方やリピーターは多いとのことでした。温泉施設の赤字を宿泊施設が補てんしています。

    宿泊棟からも海が見えます。
    和洋室にはロフトがあり、6人泊まれます。


     次に、道の駅てんきてんき丹後に行きました。利用者数は11万4千人台で平成21年、22年と変わりませんが、客単価が下がっており、収益は縮小しています。また、平成7年建設の施設であり、大規模改修が必要となっています。確かに傷んだところが目に付きます。


     店内は昼前でもあり、にぎわっていました。



     山陰海岸ジオパークの展示がしてあります。京丹後市でのジオパークへの取り組みは、鳥取県、兵庫県内の取り組みに比べて弱く、観光客の認知度も低い状況です。
     レストランからよく見える公園内に、錆びて朽ちかけた竪穴式住居を模したモニュメントがありました。撤去の予算がつかないとのことでしたが、見た目も悪く、こういうものが放置されているのを見ると京丹後市は観光振興に本気で取り組んでいないとしか思えません。