2011/07/14

再生エネルギー法案の審議入り

 再生エネルギー法案が審議入りしましたが、世界での再生エネルギーに厳しいものを感じています。でも、あまり知られていないのが日本の現状だと思います。

 京都府の太鼓山風力発電の稼働率が計画の半分以下で大幅な赤字であることは新聞等で知られていますが、Mail Onlinenのhttp://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-1355010/Energy-minister-Charles-Hendry-We-dont-know-wind-power-break-even.htmlによると、イギリス政府は、今後8年間で22億ポンド(2914億円)の補助金支出を決めていますが、補助金無しで風力発電が採算が取れるようになるのがいつになるか、見通しが立っていない事をエネルギー担当大臣が議会答弁で答えています。
 
 イギリスでは2020年までに二酸化炭素排出量の34パーセント、2050年までに80パーセントを削減する事を約束して、その実現のために2万基の風力タービンを設置し、100万台の電気自動車を走らせる計画を立てていますが、発電量当たりのコストが高いため現在は経済性が低く、改善する目処もついていないため、課題山積のようです。また、この計画の実行により年間で約300億ポンド(約4兆円)の社会コスト増になると専門家は予測しています。

 一方、ドイツでは、太陽電池に期待して長い間投資を行ってきましたが、昨年、総額12兆円の累積投資で、137万キロワット(ドイツ使用電力の0,25パーセント)しか発電できていないことが報道されています。

 太陽光では1キロワットの発電に876億円かかっており、火力発電の5倍、原発の26倍の発電コストがかかるために、ドイツ政府が補助金により太陽光パネルの設置を行ってきましたが、風力発電以上にコストがかかるのが現状です。

 また、佐世保市では、太陽電池を設置して市内で電力を有効に生産できるか検討された経緯がありますが、佐世保市内使用電力の8パーセントを太陽光で発電しようとすると、広大な設置面積となり、市内の動植物はほぼ全滅するという試算結果になっています。

 バイオエネルギーについても、すでに、総務省行政評価局が平成20年度までに実施された214事業について、期待される事業効果が出ている事業は皆無であると判定しています。以上のように、再生エネルギーは代替エネルギーのレベルにはなく、世界の最先端をいっている日本ですら補助金無くしては存在し得ない状況です。

 再生エネルギー法案は、菅首相の退陣の条件となっていますが、法律としても欠陥が多い法案を慎重に審議せずに無修正で可決するなどという無責任な対応はあってはならないと思います。