調べ物をしていて、平成23年1月20日の国保新聞に掲載されていた福井県健康福祉部長寿社会課・橘清司課長の談話を読む。
「仮に保険者が現行法通り市町村のままで市町村国保財政の都道府県単位化が実現したとしても、都道府県が国保運営に参画することとの間には論理の飛躍がある。国保の保険者は保険財政運営だけではなく、住民の健康管理も含めて一体的にサービスを提供する必要がある。それが出来るのは住民に身近な市町村ではないだろうか。」
昨年の改正国保法を受け、京都府では「国民健康保険広域化等支援方針」が策定され、公表されている。そして、この方針において、平成30年度を目途に市町村国保の京都府下での一元化の実現を目指すことが明記されている。
しかし、47都道府県のなかで広域化に賛成しているのは、京都府のほかには大阪府、奈良県、長野県の4府県のみで、ほとんどの都道府県は反対している。
そして、福井県、新潟県、山形県、島根県、徳島県の5県は、支援方針の策定すらしなかった。
地方分権一括法の成立を受けて、表向きは国民健康保険事業は市町村が独自の判断で事業の展開ができる自治事務になったが、国民皆保険制度のなかの市町村国保の位置づけからも低所得者の受け皿であり、そこから来る赤字財政の問題は避けられない。しかし、だからといって単純に広域化すれば課題が解決するわけではなく、曖昧になるだけではないか。
国民皆保険制度の創設当時の経緯からも国の責任は明確で、橘課長が言うように、広域化は論理の飛躍があると思う。