2014/02/11

タネが危ない

「タネが危ない」を読了しました。


「よみがえりのレシピ」というドキュメンタリー映画では、地域でほそぼそと受け継がれてきた在来作物を活かすことで、地域再生への光があてられています。
手間を惜しまずタネを守り続ける農家の人たちがいて在来種は守られています。

タネを守る!

著者の野口勲さんは、野口育苗研究所(種苗店)の代表で、親子3代に渡り、在来種・固定種、全国各地の伝統野菜の種を扱う種苗店を経営されています。

日本では、大手種苗メーカーによるF1種という人工的に掛け合わされて1代限り同じものができるタネがほとんどであり、F1種というタネからは揃いが良くて出荷に有利な野菜が育ちますが、自家採種することはできず、タネを毎年買わなければなりません。

日本の農家がF1種の種を使うようになってから、海外でも日本から輸出された同じF1種のタネを使って、日本で消費されている野菜が生産できるようになり、輸入されるようになっています。

しかし、野菜タネのほとんどをF1種にしてしまったのは日本ぐらいで、たとえばフランスでは7割程度が現在でも固定種とのことで、固定種は個性が強く、その多様性が地域の農業を守ってもいます。F1では同じ品質の野菜が大量につくれますが、モノカルチャー化してしまう欠点があります。

また、野口さんはF1技術の「雄性不稔」という方法に対して警鐘を鳴らしています。

雄性不稔はミトコンドリア遺伝子の異常から産まれており、人に例えると男性の無精子症です。
F1のタネ取りには受粉にミツバチが活用されていていますが、F1のタネとりにミツバチが活用されるようになってから、ミツバチの不妊が報告されていることについて、F1と不妊との関連性を疑っています。

そして、もちろん遺伝子組み換えにも警鐘を鳴らしています。

固定種を守る取り組みが必要です。
地方の野菜と食文化を守るために、家庭菜園では固定種を使うことを提言しています。