ワンツーワンマーケティングの考え方になるほど。データ管理はメンテナンスにコストがかかる。
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内海新聞 25号-1
2002年5月31日
コインスターという両替機とシステム化という考え方
アメリカにコインスターという両替機があるそうです。私はまだ実際には見たことがありません。アメリカに行ったときに現地で聞きました。スーパーマーケットなどの入り口に置いてある機械です。
私もアメリカにいってよく思うのですが、コインなどの小銭がどんどん溜まってゆきます。その場で使うのは、せいぜいクォーターのコインくらいまでで、それ以下は財布に残っていきます。それを大きなビンの中に入れて貯めている家庭が結構多いのに気づきます。
今回のこのコインスターというのは、その家庭に溜まっているコインを全部回収しようという機械です。スーパーなどの入り口に置いてあるらしいのですが、その機械は銀行にあるATMのような形です。同じように、小銭の投入口があり、そこにコインをジャラジャラと全部入れます。ボタンを押すと蓋がしまり、数を数え始めます。数え終わると、ご利用明細のようなジャーナルという紙が印刷されて出てきます。そこには金種ごとの数と金額、そして合計金額が印刷されていますが、さっき投入されたお金は、もう戻ってきません。お金が、このご利用明細というジャーナルに両替されたのです。
さて、これで終わってしまえば大損害なのですが、このジャーナルは、ここのスーパーで使える金券になるのです。しかも、投入金額にいくらかのボーナスポイントがついて、お得な金券、つまり割引がきくことになります。
この話を聞いて驚きました。自宅にある使わない小銭を1セントも残さずかき集めるすばらしい仕掛けです。しかも、何も難しいことがありません。皆、家にある小銭で一杯の大きなガラス瓶を抱えてくるのだろうと想像すると笑ってしまいました。このように、あまり難しく考えるのではなく、簡単に誰でもできるようにしてしまうことこそ、本当のシステム化というのかもしれません。確かにアメリカは多民族国家ですから、言葉も宗教も人種も違うわけで、それらの人々が何も考えずに使えるようにしてあげることは大切ですし、このような背景でアメリカ文化が発展してきたと思えば納得できます。聞くところによると、コンピューターのキーボードもそのような背景から生まれてきたと聞きました。
以前、ニューヨークのメトロポリタン美術館に行ったとき、喉が渇いてきたな・・・と思う頃にカフェテラスがありました。そこは奥にレジがあり、手前には丸いテーブルがいくつもあり自由に使えました。あるところにポールが立っていて、ここまではウェイターのサービスがあるが、その先はセルフサービスと書いてあります。そのカフェテリアの右端にはポールが順番に置いてあり、ロープが張ってあります。そこには一人ずつ並んで立てるようになっていて「入り口」と書いてあります。そこに並んでいると自然に奥の売店にたどり着き、さらにレジでお勘定をして、自然にテーブルのある場所に出てきます。その間しゃべることはありません。とてもアメリカ的です。
今、日本の企業は顧客データベースを強化してマーケティングに生かそうと躍起になっています。果たして、本当にその方法がベストなのでしょうか?莫大なコストがかかる事に間違いありません。アメリカにこんなシステムが出てきました。その企業は、もう一切顧客データベースは集めない事にしました。なぜなら、それを維持するための経費の方が利益を上回るからです。そこで次の様なことを考えたのです。
たとえば、お客様が店頭で「髭剃り」を買ったとします。これをレジでお勘定します。今では日本でもお馴染みになったPOSレジです。レシートが出てきますが、そこにはシェービングクリームのクーポンがついています。お客はそのレシートを持って再びシェービングクリームを買いに行きます。この商品には、さらにこの商品が必要という関連性を調べてレジで瞬時にそのクーポンが印刷されるようになっているのだそうです。その人がどこの誰なのかはどうでも良いことなのです。日本で肉売り場に焼肉のたれが置いてあるのと良く似ていますが、さらに進化しています。何も考えずにいつでもどこでもだれでもワンツーワンマーケティングができるようにしています。
またアメリカのあるスーパーでは、レジにお客様が並んで混雑しはじめると、従業員がそれぞれキャンディーの一杯入った籠を持って、並んでいるお客様に配り始めるのだそうです。「うちのスーパーは気に入っていますか?」とかなんとか聞きながらです。あるお客はこれを目当てに、わざと混んでいるときに並んだりするそうです。日本ならレジを増やそうとか、もっと導線を考えてご迷惑をかけないようにしようとか考えるのですが、アメリカはちょっと違うようです。ケチなのです。もっと単純に考えているようです。
システムのヒントはどうもこのあたりにあるようです。大切なことは「メンテナンスはコスト」ということです。
2002年5月31日
コインスターという両替機とシステム化という考え方
アメリカにコインスターという両替機があるそうです。私はまだ実際には見たことがありません。アメリカに行ったときに現地で聞きました。スーパーマーケットなどの入り口に置いてある機械です。
私もアメリカにいってよく思うのですが、コインなどの小銭がどんどん溜まってゆきます。その場で使うのは、せいぜいクォーターのコインくらいまでで、それ以下は財布に残っていきます。それを大きなビンの中に入れて貯めている家庭が結構多いのに気づきます。
今回のこのコインスターというのは、その家庭に溜まっているコインを全部回収しようという機械です。スーパーなどの入り口に置いてあるらしいのですが、その機械は銀行にあるATMのような形です。同じように、小銭の投入口があり、そこにコインをジャラジャラと全部入れます。ボタンを押すと蓋がしまり、数を数え始めます。数え終わると、ご利用明細のようなジャーナルという紙が印刷されて出てきます。そこには金種ごとの数と金額、そして合計金額が印刷されていますが、さっき投入されたお金は、もう戻ってきません。お金が、このご利用明細というジャーナルに両替されたのです。
さて、これで終わってしまえば大損害なのですが、このジャーナルは、ここのスーパーで使える金券になるのです。しかも、投入金額にいくらかのボーナスポイントがついて、お得な金券、つまり割引がきくことになります。
この話を聞いて驚きました。自宅にある使わない小銭を1セントも残さずかき集めるすばらしい仕掛けです。しかも、何も難しいことがありません。皆、家にある小銭で一杯の大きなガラス瓶を抱えてくるのだろうと想像すると笑ってしまいました。このように、あまり難しく考えるのではなく、簡単に誰でもできるようにしてしまうことこそ、本当のシステム化というのかもしれません。確かにアメリカは多民族国家ですから、言葉も宗教も人種も違うわけで、それらの人々が何も考えずに使えるようにしてあげることは大切ですし、このような背景でアメリカ文化が発展してきたと思えば納得できます。聞くところによると、コンピューターのキーボードもそのような背景から生まれてきたと聞きました。
以前、ニューヨークのメトロポリタン美術館に行ったとき、喉が渇いてきたな・・・と思う頃にカフェテラスがありました。そこは奥にレジがあり、手前には丸いテーブルがいくつもあり自由に使えました。あるところにポールが立っていて、ここまではウェイターのサービスがあるが、その先はセルフサービスと書いてあります。そのカフェテリアの右端にはポールが順番に置いてあり、ロープが張ってあります。そこには一人ずつ並んで立てるようになっていて「入り口」と書いてあります。そこに並んでいると自然に奥の売店にたどり着き、さらにレジでお勘定をして、自然にテーブルのある場所に出てきます。その間しゃべることはありません。とてもアメリカ的です。
今、日本の企業は顧客データベースを強化してマーケティングに生かそうと躍起になっています。果たして、本当にその方法がベストなのでしょうか?莫大なコストがかかる事に間違いありません。アメリカにこんなシステムが出てきました。その企業は、もう一切顧客データベースは集めない事にしました。なぜなら、それを維持するための経費の方が利益を上回るからです。そこで次の様なことを考えたのです。
たとえば、お客様が店頭で「髭剃り」を買ったとします。これをレジでお勘定します。今では日本でもお馴染みになったPOSレジです。レシートが出てきますが、そこにはシェービングクリームのクーポンがついています。お客はそのレシートを持って再びシェービングクリームを買いに行きます。この商品には、さらにこの商品が必要という関連性を調べてレジで瞬時にそのクーポンが印刷されるようになっているのだそうです。その人がどこの誰なのかはどうでも良いことなのです。日本で肉売り場に焼肉のたれが置いてあるのと良く似ていますが、さらに進化しています。何も考えずにいつでもどこでもだれでもワンツーワンマーケティングができるようにしています。
またアメリカのあるスーパーでは、レジにお客様が並んで混雑しはじめると、従業員がそれぞれキャンディーの一杯入った籠を持って、並んでいるお客様に配り始めるのだそうです。「うちのスーパーは気に入っていますか?」とかなんとか聞きながらです。あるお客はこれを目当てに、わざと混んでいるときに並んだりするそうです。日本ならレジを増やそうとか、もっと導線を考えてご迷惑をかけないようにしようとか考えるのですが、アメリカはちょっと違うようです。ケチなのです。もっと単純に考えているようです。
システムのヒントはどうもこのあたりにあるようです。大切なことは「メンテナンスはコスト」ということです。