2013/08/17

終戦の日について思う

NHKのアンケートで33%が終戦の日を知らないと答えています。最初は驚きましたが、調べてみると納得しました。小・中学校の教科書では終戦の日を8月14日(ポツダム宣言受諾の日)か8月15日としていて、高校の日本史教科書の多くは終戦の日を9月2日としているそうです。

第2次大戦の終戦の日。

ヨーロッパでは、連合軍もドイツも終戦の日は降伏文書に調印された5月8日で、ドイツ連邦共和国はこの日を「第二次大戦終戦の日」("Ende des Zweiten Weltkrieges")と呼称し、敗北の日として重く受けとめられています。

一方、太平洋では、降伏文書が調印されたのは9月2日で、米・英連合軍の終戦の日は調印の日である9月2日ですが、日本政府は、8月15日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とし、全国戦没者追悼式を主催していますが、ドイツのように「終戦の日」と定めてはいません。

資料を見ると、8月15日で戦争は終結していません。

1945年8月15日正午に「 玉音放送」が公にされると、大本営は、陸軍部隊に対して大陸命第一三八一号を発令しています。

大陸命第一三八一号
命令
一、大本営ノ企図スル所ハ八月十四日詔書ノ主旨ヲ完遂スルニ在リ
ニ各車軍別二命令スル迄各々現任務ヲ続行スヘシ
但シ積極進攻作戦ヲ中止スヘシ

この命令は全面的な停戦命令ではないことは明らかで、海軍部隊に対して発令された大海令第四七号も大陸命と同じく、「 積極進攻作戦」の中止のみを命じています。

大本営は統帥権の独立を貫き
日本本土( 北海道は除く)を作戦地域としている第一・ 第二・ 航空総軍には、8月22日零時をもって「一 切ノ武力行使ヲ停止」するように命じ、第一・ 第二・ 航空総軍以外の外地と北海道の作戦軍にたいしては、22日に大陸命第一三八八号が発令され、それらの部隊は、8月25日零時をもっての全面的停戦に移行することが命じられましたが、その際に中国に展開する支那派遣軍(対ソ連戦闘部隊ではありません)に対してのみ例外が認められています。

そして、9月2日、降伏文書調印後に大本営は、大陸命特第一号とそれに基づく大陸指特第一号を発令しています。

大陸命特第一号
命令
( 一 )敵対行為ヲ直チニ終止シ武装ヲ解除シ且現態勢ノ変更ヲ中止ス
( 二)兵器及装備ヲ関係聯合国指揮官ノ指定スル時期及場所二於テ現状ノ侭且安全良好ナル状態二於テ該指揮官又ハ其指定者二交付ス・・・
( 五)一切ノ兵器、弾薬及戦争用具ノ製造拉分配ヲ直チニ終止ス

中国大陸や北方戦線では命令で8月末までは戦闘が続いており、そこで犠牲になられた方が多くおられ、9月2日の大陸命特第一号により、全面的な武装解除が命令されています。調べてみると、終戦の日が教科書によって違うのも理解できなくもありません。

8月15日は、戦闘は終結していません。しかし、玉音放送により日本の降伏が国民に公表された日であり、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」として、今後も黙祷を捧げ、平和を願いたいと思います。