2013/06/28

熊原さんのまちづくり型福祉

先日、逆手塾で訪れた庄原市の「まちづくり型福祉」NHKで取り上げられていた内容をシェアしました。以下、素晴らしい取り組みですのでご存知でないかたは一読を!。


"地域をよみがえらせたい"福祉が町をつくる時代

日本で最も過疎化が進む中国地方の山あい。高齢者の施設を運営する社会福祉法人の理事長・熊原保さんは、町を元気にするために地域にあるモノや人を生かす努力を続けてきました。その一つが、増え続ける空き家。廃業した旅館は、障害者の施設に。買い手がつかない別荘は、デイサービスセンターに。空き家を熊原さんの社会福祉法人で買い取り、新しい施設に再生して活用しています。新しい施設を作ることで、なかなか仕事が見つからず、外に出ざるを得なかった若者の雇用も生み出しています。

今年、高齢者の施設で画期的な試みを始めました。デイサービスにやってくるお年寄りが自家菜園で育てている野菜。それを買い取って、施設で出す食事に使うことにしたのです。福祉法人全体で年間1億2000万円にもなる食材費。その1割分をまかなうことにしました。施設ではもっぱらお世話される側のお年寄りに、活躍してもらおうという逆転の発想。6月からは、施設の職員がお年寄りの家を回り、食べきれない野菜を集めています。

この日訪れたのは、入君(いりきみ)ハルコさんのお宅。初めての野菜の買い取りです。夫の弘司さんと二人で食べる野菜は、すべて自家菜園でまかなっています。畑の土壌の力を保つにはある程度の量を作る必要がありますが、いつもたくさん余ってしまい腐らせていました。自分たちの野菜がお世話になっている施設の役に立つのがうれしくて・・・。夫婦は喜んで収穫します。気をよくした入君さん、さらに納屋にある野菜もどんどん出してきます。

この日、入君さんからは、ちんげん菜18.4㎏、ホウレンソウ10.3㎏を受け取りました。施設の300人、1日分をまかなえる量です。職員の方が広島の中央卸売市場の値段で買い取らせてもらおうとすると...入君さん、ビックリ!「ありゃ、市場の値段じゃなんてだめよ。あげてもええんじゃけど。お父さんは捨てる捨てるいうて。」そこでお礼に、福祉法人が作った"地域循環券"を渡しました。デイサービスや、福祉法人のレストランで使えます。「おじいさん。お金に代わるものをくださった。レストランへ行ってご飯食べたりしてくださいって。ありがとうございます。」

みんな喜ぶレストラン"食材も人も地元から!"

お年寄りから集めた野菜は、空いていた建物に福祉法人がオープンさせたレストランでも活用されています。このレストラン、ただのレストランではありません。「バイバーイ!」「いってらっしゃーい」。すぐ隣りに保育園も建て、レストランで働くお母さんが子どもを預けて働けるようにしたのです。地方では働く意欲があってもなかなか職が見つからない...そんな子育て中のお母さんに、理想的な環境を用意しました。またここでは障害者も雇用して地域のさまざまな人たちが働く機会を広げています。

この日、おしゃれをして友達と店にやってきたのは、野菜を提供してくれた一二三春江(ひふみ・はるえ)さん。"地域循環券"を使ってお食事です。一二三さんの育てた野菜も、おしゃれなグラタンに変身!「おいしい。野菜をまた作ろうかという励みにもなりますね。」お楽しみは、これだけでは終わりません。「こんにちはー!」隣りの保育園で子どもたちと遊ぶこともできるのです。一二三さん、大喜び。保育園も大助かり。過疎高齢化の町の"足元"を見直すことで活かされるようになった人やモノ。いかせばいかすほど、人が元気になっていきます。


http://www.nhk.or.jp/sakidori/backnumber/121014.html