2013/09/18

世界は貧困を食い物にしている

「世界は貧困を食い物にしている」を読了。
マイクロファイナンスは貧しい人を救い、女性の地位向上に役立ったからノーベル賞が与えられたはずだった。

たしかに、一部の成功者はある。

しかし、インドではマイクロファイナンスによる過剰債務と取り立てのいやがらせによる自殺が常態化しているという。

マイクロファイナンスでお金さえ手に入れば、それを元手に誰もが利益を上げる商売がきるという前提はそもそもおかしい。商売する人が増えれば競争がおこり、利益は下がる。


以下引用・・・
たとえばボスニアでは、多くの貧しい人たちが、牛乳を売って少しでも収入の足しに使用投資を買うためにマイクロファイナンスを受ける契約に署名した。
これは国際的な篤志家とNGO(非政府組織)のコミュにティーによる賢明で情け深い介入だと一般的には見られているが、進展の結果には問題が大有りだ。
多くの村で、現地の牛乳が供給過剰になったせいで、全体的に価格が下落したのだ。
もちろん、これで9軒の既存生産者全てが弱体化したが、特にそれ以外の「牛一頭の農家」は大打撃を受け、すぐに利益率も収入も減って、貧困に陥る可能性が以前より増した。
持ちこたえられる潜在力のある比較的大きい農家も、日々の仕事の価値を下げられ、長期的な悪影響も出た。・・・・すでに飽和状態の現地市場で、多角化する能力がほとんどない貧しい新規生産者が、直面する克服がほぼ不可能な問題から、たいていのマイクロファイナンスは目をそらすことを選ぶ。・・・引用終わり

ムハマド・ユヌスは「そのお金で人々が自分の事業を立ち上げられるのだから、[信用貸しは]人権でもある。彼らが自分で所得を生み出せれば、食べ物の権利、住む家の権利を政府に与えられるより簡単に手に入れられる。]といっている。理論としては正しいが、実際はマイクロファイナンスのかなりの部分が消費や返済資金に向けられ、ローン返済の実質金利がひどいものでは144%にもなるほど高利貸し化している。

これでは雇用や所得は簡単には生まれない。

一方でマイクロファイナンスに投資された資金は利益を上げている。