1995年の物価指数を100とすると、2011年の物価指数は日本は99でデフレ経済ですが、アメリカは148とインフレ経済です。148という数字だけ見ると、一瞬驚きますが、毎年平均3%前後の物価上昇が15年続いています。
かつて、アメリカではレーガン大統領の時代に経常収支が赤字のなかでドル高政策が取られ、輸出価格の上昇と輸入価格の下落により、産業の競争力が弱まり、空洞化とデフレが進みましたが、その後は大幅なドル安の進行とともに輸入物価が上昇し、インフレが進んでいます。
しかし、アメリカを見るとドル安により産業の競争力が回復しても、空洞化した産業は戻ることなく、経常収支も黒字に転換することもなく、ドルという基軸通貨と資源と新たな産業の創出により支えられています。
一方、日本は意図せぬ円高(?)により、レーガン大統領時代のアメリカのように、輸出価格の上昇と輸入価格の下落により、産業の競争力が弱まり、空洞化とデフレが進みました。
そして、今度はアメリカの後を追いかけるように、円安政策が取られようとしています。
現在の日本は貿易収支は赤字であり、さらに円安により輸入金額は増加します。しかし、円安により輸出競争力も上がるので、これまでの経験を踏まえれば輸出の増加が見込まれ、貿易収支が黒字に転換するように考えられます。事実、トヨタなどの輸出型多国籍企業の国内工場の稼働率は高まると考えられますが、海外移転した工場は、おいそれとは国内回帰しないと思われます。
なぜなら、 円安による輸入物価の上昇とともに日本国内の物価の上昇は避けられず、貿易赤字とともに円安が加速する状況になれば、アメリカの事例と同じく、日本国内の企業は国内での競争力は回復しても国際的な競争力は回復しないと考えられます。
そして、円安はインフレを起こすだけでなく、日本円が基軸通貨でないためにインフレとともに金利の上昇を招く恐れもあります。国の債務が1000兆円を超えるなかで金利が上昇をはじめたら、金融不安となります。
毎年150兆円を超える国債が安定して発行できているのは、デフレにより金利が低位安定しているからです。