今回の選挙で、自民党は294議席を獲得しました。
人によっては自民党が圧勝したといわれますが、国民が自民党に期待したのではなく、小選挙区制度の弊害が有利に作用した「薄氷の大勝」だと思っています。
今回の衆議院選挙では、前回よりも1098万人以上が棄権しています。
民主党は小選挙区で実に1987万票以上を落として前回の40.6%の得票に留まり、比例代表でも同じく2037万票以上を落として前回の31.7%の得票しかできていません。民主党の得票を見る限り、国民は明確にノーを突きつけています。
では、自民党はどうでしょうか?
自民党は2009年の119議席から294議席と2.5倍近く議席を増やしましたが、得票数は2009年の選挙より小選挙区で167万票以上を落とし、比例代表でも247万票以上を落としています。
自民党は大敗した前回の選挙よりも得票数を減らしたにもかかわらず、2.5倍近く議席を増やすことができたのは、政党が多くなるほど死に票が多く出る小選挙区制度の弊害に救われたからでもあります。
また、1098万人以上の方がいいことだけをいう政治とマニフェストに幻滅し、投票を棄権することで政治不信を表明したのであり、自民党が大勝したのではなく、民主党が自滅・大敗し、政治不信が大きくなり、社会的信頼というソーシャル・キャピタルが大きく傷ついていることを示したのです。
おそらく自民党はこの事実に気がついているので、安倍さんは、「自民党に信認が戻ったのではない。自民党に対しては まだ厳しい視線が注がれている。」と発言したのだと思います。
小選挙区制度の弊害に救われた薄氷の大勝ということですから、民主党の轍を踏まないように慎重に動いていくことしかできないでしょう。そうしなければ、参議院選挙で厳しい評価を受けることになると思います。