2014/10/04

ニキタ・マガロフのショパン・ピアノ作品全集

買っちゃた。
ニキタ・マガロフのショパン・ピアノ作品全集13CD。
ショパンはそんなに聴かないけど、
HMVの在庫処分で3080円で売っていたのと、
ユーザーレビューの評価が気に入ったので買いました。

買って大正解!!これはとてもいい。

1970年台のフィリップスの録音だけあって、ピアノの音が素晴らしい。
そして、マガロフのピアノ音色は美しく端正で格調が高い。

この5日間で、ノクターン、エチュード、前奏曲、マズルカなど、
すでに8枚を聴いた。
アルゲリッチや内田光子が慕っていたというのもうなずけました。

家族農家 agriculteurとpaysan

フランスで農家民宿に泊まった時、小さいながらも有機農業で野菜を栽培しているので、農業をやってますと自己紹介したら、「君はagriculteur(アグリキュルトール)なのか?それともpaysan(ペイザン)か?」 と 質問されました。

意味は、企業的な農業経営者なのか?それともお百姓さんか?ということですが、フランスでは両者は明確に分けられているようで、僕がpaysanと答えると、笑顔で歓迎してくれました。

その後、フランスの農家を見学しましたが、agriculteurとpaysanは全く違う存在でした。数年前にシアトルの農家を見学した時も、農家といってもひとくくりにできないと感じました。

この新聞では、家族農業がイコール家族経営となっていて、北米でも中心的な存在は家族経営。販売額シェア93%とありますが、これって無理があるのではないでしょうか?

商店に例えるとよくわかると思います。
家族で営業している商店と、家族が経営陣の地域に大規模に展開するスーパーマーケットを、家族経営でひとくくり!
それに、家族で営業している商店も、家族だけで営業してる店から、人を雇ってオーナー的な営業までバラバラです。

アメリカの家族経営と日本の家族農業とは違う。
似て非なるものをごっちゃにして議論すると、話がおかしな方向に行ってしまうように思います。

家族経営の強化ということは、paysanは日本にいらないということだろうが、paysanなくしてagriculteurの強化はできないと思う。

2014/08/18

水子〈中絶〉をめぐる日本文化の底流

「水子(中絶)をめぐる日本文化の底流」を読了しました。教えられることが多い本でした。


「水子」という言葉と概念は、8世紀に書かれた「古事記」と「日本書紀」の「ヒルコ」の記述まで遡れ、国づくりの神話のなかに子どもの数を減らすこと、望まれない胎児を水際などに返す事例などがいくつも出てきます。

日本的な生命倫理感が仏教に受け入れられるなかで、生活水準を維持し、さらに向上するための現実的な選択肢として、家庭や母親が胎児や赤子の命を絶つという習慣が踏襲され、罪の意識とともに供養されています。この本の仏教についての記述は大変勉強になります。

江戸時代のはじめの100年、農地開墾などで農業生産が飛躍的に拡大したことから人口が倍に増えましたが、それ以降は人口は停滞します。

もしも、それ以降もお隣の中国のように人口の増加が続いていたら、食料不足から国内紛争と流血の事態が続いただろうと予測されていますが、日本の人口が増加しなかったのは飢餓でも疫病でも戦争でもなく、慣習として定着していた嬰児殺しと中絶により人口増加が抑制されていたことで、平和が謳歌されています。

しかし、明治の幕開けとともに間引きと堕胎を禁止する法律が発布され、権力機構による徹底した取り締まりが進められています。それとともに、徐々に各地域の女性に広く受け入れられて世話がされていた地蔵信仰の集まりが消えていきます。

明治に入って、産めよ増やせよと人口が増加し、兄弟数も増えましたが、戦後になって人工中絶が認められるようになると爆発的に人工中絶が増えていきます。僕が生まれた1960年の中絶件数は1,063,256件、中絶実施率は全妊娠の42%と驚くべき数値です。その後は、出生率の減少が続いて今日にいたっています。

この本を読めば、明治以降の富国強兵によって政府から強制された時代を除き、生活水準を犠牲にしてまで子どもをつくるというのは日本の伝統にはない考え方であり、生活水準と人口が密接に関連していて、少子化対策として、結婚適齢期にある若者の生活水準の向上が必要だと思います。

2014/08/07

フライブルクの風力発電

風力発電は北ドイツとオーストリアでたくさん見かけましたが、南ドイツ、フライブルクでも風力が主役になろうとしています。


この風車はプロペラの直径は70mで発電能力は1.8メガワット、同時に6基が2003年に建設されています。501人の市民による420万ユーロの出資と880万ユーロの銀行借入で建設され、年間の発電量は約1600万kWhで5400世帯分の電力を供給しています。

これまで順調に発電できているので、現在、さらに大型の6メガワットの風車建設の計画が進められていて、風力発電の技術が向上していることもよくわかりました。

それにしても、わずか2年早いだけの京丹後市の太鼓山風力発電所はコンサルの風向調査がずさんだったので失敗したと聴いていますが、こうして成功事例を見るととても残念でたまりません。

たまたま見かけた風向調査は、想定されている風車のプロペラの高さでされていました。同じように風向調査がされていれば・・・



この風車を見に行った時は残念ながら無風で、累計発電量だけ見ることができました。

2014/08/06

フライブルクの道路

ドイツは日本と同じく自動車産業が強い国で、車社会でもある。


日本なら、自動車道路にじゃまになる建物の保存を考えるだろうか?
対向車線の道が突如として建物に遮られる・・・



自動車のための「部分最適」で道づくりは考えていない。まちとして「全体最適」で道を考えている。
住宅地の中は歩行者の安全などがしっかり考えられ、スピードが出せないようになっている。

危なくて人が歩けない道と、安心して歩ける道。
足の悪いお年寄りも安心してゆっくり歩けるから散歩姿も多い。

フライブルクの小水力発電②

まちなかの小川に設置された小水力発電。小川沿いには木が生い茂っている。
こんなまちなかの小川でも小水力発電機が稼働している。


2000年に完成。落差も少なく出力は27キロワットだが、工業用水用なので常に水量が安定しているので年間155,000kW、150人分の電力を供給している。

 橋の手前で川をせき止め人工的に落差をつくっている。

 


①②のような小水力発電所がフライブルク市街内に6箇所、近郊に14箇所稼働している。

スイス、オーストリア、ドイツ(南部)に置いては、大きな水力発電所だけでなく小水力発電も重要な再生可能エネルギーとなっている。

日本は小水力はまだまだ未利用の状態だが、フライブルクでも小水力に積極的に取り組まれてから20年も経っていない。


これからが大切だ。

フライブルクの小水力発電①

久しぶりに投稿します。
7月12日から30日まで、ドイツを中心にオーストリア、スイスと自主研修をしてきました。

研修目的は、山間地林業(林業が産業として活発)、再生可能エネルギー、中山間地農業、まちづくりなどです。

きょうから、その報告をブログにアップしていきます。

まずは、環境先進都市であるフライブルクの視察から報告します。


動画の小水力発電は落差3m、発電能力は85kW(年間300,000kW120世帯分)です。

フライブルクでは、再生可能エネルギーは、環境に配慮した小規模地域分散を前提にしています。
これには、多様な再生可能エネルギーによるリスク分散の意味もあります。

 発電所の取水口です。

河川利用での小水力発電には、環境・生物多様性に配慮して、魚道を設けることや、市民が川遊びなど自然と触れ合うことができることなど、厳しい規制があります。

取水口から発電に使われる水量よりも多くが自然に流れていきます。

 
川がゆるやかに流れていくように、また多くの市民が川遊びができるように石を使って工事されています。

 この小水力発電所と、河川景観工事のすべての費用を、小水力発電を普及させたいという強い思いをもった一市民が銀行に長期の借り入れをしてまかなっています。






2014/07/06

フィールドトリップin京丹後探訪ツアー

5~6日と、タイからの留学生ヨーティンさんが我が家にホームスティ。
昨年に続く「フィールドトリップin京丹後探訪ツアー」の受け入れです。




琴引浜に足を運びましたが、タイには美しい砂浜、海岸が多いとのことであまり喜ばなかったので、それではと山の話をしてみたらタイには美しい山があるとのことで、我が家に帰ってタイの話などを聴くことに。

英語がよくできるということなので聴いてみたら、タイでは5歳から英語教育があり、早くからネイティブから教わるとのこと。
日本の英語教育について考えさせられました。

話を聞いていると温泉に行ったことはないとのことだったので小町温泉に入り、夕食は手巻き寿司。 

翌日は、午後2時前まではタイの話を聴いたり、奥大野を散歩して少年野球の練習を見たりして、裏の畑のジャガイモ掘りも少し手伝ってもらったので、ヨーティンさんには少し野菜のおみやげを持って帰ってもらいました。

午後2時からは、大宮の民家苑にホストファミリーと留学生が集合して、古民家見学、竹細工体験、流しそうめん体験、そしてスイカ割体験では、ヨーティンさんが見事にスイカを割って終わり。
また会う日までお別れです。







ヨーティンさんは夏休みに帰国しないので、友だちを連れて遊びに来ます。
 

2014/07/03

銘建工業のCLTと木質バイオマスの利活用の見学

久しぶりにブログに投稿します。

7月1日、製材業界では早くから新しい取り組みをされ、藻谷さんの「里山資本主義」でも大きく取り上げられている岡山県真庭市の「銘建工業」さんに行ってきました。

逆手塾会長の和田さんの紹介で、中島社長から直接お話をうかがい、工場も案内していただきました。とても有意義な時間でした。

これからの建築材料として力を入れておられる CLT(大判パネル)。トラックでの輸送に限界が有るため、幅はこれでいっぱいだそうですが、長さはトレーラーなら12メートルまで可能だそうです。

木材を縦方向と横方向に重ね、ボンドをつけた後、圧着する大型プレス機械。

直交積層で高い寸法安定性があり、厚みがあるので断熱、遮音、耐火性が高い。

海外ではこのパネルを使って10階建ての木造のビルも建設されていますが、日本では木造の高層建物には規制があるため遅れています。

海外のCLTの実績と、日本の現状がよく分かる資料でした。

日本の林業は低迷しているといわれながら、「林業」の狭い視野でしか考えられていないために利用が進んでいないように思います。縦割り行政の弊害がここにもあります。

銘建工業の会社紹介の冊子と資料です。

別の工場から運び込まれた製材品(板材)で集成材をつくる過程も見学しました。

板材の幅や厚みを揃えるために、一枚一枚の板材をコンベヤで削るプレーナーへ送ります。

プレーナー(材木を削る機械)です。

 プレーナーで削った材木をチェックする機械。材木の仕上がりの寸法だけでなく、強度も測定されて仕分けされます。

 人間の目でチッェックも。

強度別に板材がベルトコンベヤで分けられます。

 集成材(柱)をつくる工場です。プレーナー加工された板材が運び込まれています。

板材にボンドが塗られ、機械で重ねられていきます。

重ねられた板材はプレスで圧着されます。

 板材4枚が圧着され、柱材が出来上がり。

乾燥しているので寸法のあんていした柱ができます。自然の柱では反ってしまったり、背割りが開いたり、湿度とともに変化もしますが、集成材にはそれがほとんど無いと思います。

かつて和風建築が主流で、柱は完成しても見えていましたが、洋間中心の現在の建築では、柱は壁のなかで見えることはなく、価格の安さと強度と安定性が求められています。かつてのような節のない桧の柱が重宝されていた時代にはもう戻らないと思います。

ナカシマ社長も言っておられましたが、日本だけが節(枝)のない桧の柱材を重宝して、それが材木全体の値段を釣り上げていましたが、和風建築が少なくなれば柱には強度と安定性さえあればよく、材木の値段が世界の水準に下がってしまったのもやむ終えないことだと思えます。

私自身、長く木造建築に関わってきたのでわかりますが、和風建築が主流の頃は高くても節のない桧の柱を使わなければ良い和室ができなかったのですが、今では、和室がほとんどないので、節のないきれいな柱の必要性がなくなりました。

和風の家なら柱が50本必要な場合、節のないきれいな柱が要るので90万円かかるとすれば、洋風の家で同じく柱が50本の場合、20万円しかかりません。付加価値の高い柱は不要なのです。

日本では節のない化粧材が高く売れたので生産性を上げることなく来てしまいましたが、ヨーロッパではずっと材木の単価が安かったので効率化が進み、林業の生産性は日本の20倍あると聴きました。将来、桧や杉を売って儲かることはないと思うべきで、植林も他の材に変えるべきだと思います。

日本では、戦後に建築用材の桧と杉のみを植林してきたため、家具に使う材木(オーク、チーク)や松材などは輸入するしかなく、ヨーロッパから大量に輸入しています。

ここから、集成材(構造材)をつくる工場です。柱よりも長い板材です。

コンベヤを板材が流れていきます。

 同じように材木を削るプレーナーがあります。板材が長い文、プレーナーも長くなっています。

プレーナーから測定器までの距離も長くなっています。

 加工された板材は2階に上げられ、2階で集成材がつくられています。

 板材にボンドが塗られ、重ねられていきます。


 構造材用の圧着プレスです。

何枚も重ねられた厚み20センチ以上の集成材。

さまざまな寸法の構造材がつくられています。

CLTと集成材の工場を見学させていただき、その規模に圧倒されました。この工場だけで1日150トンのプレーナーチップ(けずり屑)ができます。

銘建工業は1970年から集成材の製造をはじめられ、大量に発生するプレーナーチップを再利用するために1984年にエネルギーセンターをつくり、1998年にはエコ発電所を建設されています。
そして、1970年に7億円だった売上が、2013年には213億円にまで増えています。

2000㎡のプレーナーチップ(けずり屑)を一時的に保管できるサイロです。

サイロからけずり屑が送られ、1日1トンの木質ペレットを製造する機械。

こちらは1日3トンのペレットを製造する機械。


木質ペレット。

材木の皮も1日17トン、材木の端材は18トン。

皮と端材にけずり屑を加えてボイラーで燃やして発電。

日中は電力消費量が多いので、不足する電気を買って、夜間に売電されています。


けずり屑や材木の皮、端材を再利用することで、コストが抑えられています。

木質ペレットまたはプレーナーチップ500グラムと灯油252ミリリットルが同じカロリーだそうです。

銘建工業では、時代の先を読んで、1970年から集成材の生産に取り組み、1984年からはけずり屑を燃料として再利用することでコストを抑えて生産も拡大していますが、多くの廃業に至った製材所では、そこまで考えられていません。もし、考えたとしても、その投資をリスクとのみ考えてしまったのかもしれません。
広い視野の大切さをあらためて感じました。
中島社長、お忙しいなか対応いただきありがとうございました。