2012/01/10

体制維新 ― 大阪都

橋下知事(当時)の「文科省のバカ」とか「くそ教育委員会」などの発言だけをテレビで見ていましたが、本を読むと、込められた思いもよくわかりました。大阪府民に関心を持ってもらわなければ改革は出来なかったと思いました。



体制維新 ― 大阪都 (橋下 徹、堺屋 太一)78~79ページから

市町村教委は、結果が公表されないもんですから、学力調査テストのフォローなどいい加減。府内市町村での取り組みを調査したら、A3一枚のペーパーで、次回しっかりと頑張る、という程度の総括しかしていない。・・・・・

市町村別の結果公表となってどうなったか。まず市町村教育委員会の意識が変わりました。学力テストの総括について、ほとんどが40ページ以上、なかには100ページを超える資料を作成するところも出て、保護者説明会を開く市町村が一気に増えました。

そりゃそうです。うちの子どもに、通知表を僕に見せなくてよいと言えば、子どもなんて何もしませんよ。通知表は僕に見せることになっているので・・・・・説明しなければならないし、次は頑張らないと、と思うわけです。

市町村教育委員会だって同じです。自分たちの状況を、保護者に知られて、保護者を意識し、そして切磋琢磨するのです。そして、市町村別結果の公表は個別政策というよりも教育行政の仕組みを変えた典型です。カネをかけて特別の事業を興したわけではなく、単純に情報を開示しただけ。しかし、これによって市町村教委が切磋琢磨する環境となったのです。

・・・・・今、大阪では、過度な競争もないし、不当な学校序列もない。むしろ、これまで意識していなかった学力向上に向けて、全市町村教育委員会、学校現場が動いています。

机上で、あれやこれや心配事を並べるのが、これまでの行政。だからチャレンジしない、何も変わらない。市町村別結果公表なんて、カネは一切かかりません。カネがかからないならまずやってみる。本当に不都合なら修正する。こういう姿勢でないと、日本は何も変わらない。

新しいことをやろうとすれば、心配事、問題点を徹底的にあげつらい、現行のやり方に問題があるかは検証しない。結局、現状維持が一番よいとなる。(ただし、大阪府全体の方向性に関わらないこと、組織のこれまでの考えを大きく変えるようなものでないことは、基本的に組織の自主的運営に任せる。)



この本を読むまでは、独裁者かと思う部分もありましたが、しっかりと聴くべきは聴いておられます。また、府民を味方にするだけでなく、行政・議会にも多くの理解者・支援者があります。(政治家としての首長には行政・議会に理解者・支援者が不可欠ですが、京丹後市長は不足しています。)
改革の必要性を痛感しました。