先日の自治体学会のテーマは、「地域から創る日本の自治」でした。広島県の湯﨑知事が基調講演「多様性から活力を生み出す国づくり」のなかで、国際社会での多様性についてデータで示され、多極化と一国多制度における持続的な活力を事例に、日本がこれから目指すべきは「広域自治体の連合体による多極・多様化国家」と主張されていたことはすでに書きました。
分野的な違いはありますが、脇坂紀行氏が著書「欧州のエネルギーシフト」で中央集権型か小規模分散型か、それぞれの国の制度が違うなかで、現場を歩いて本にまとめています。
2012年4月現在、欧州では133基の原発が稼働中であり、建設中が4基あります。
原発廃止を決めたドイツや、原発がないオーストリア、デンマークなどはむしろ少数派であり、その国が置かれた歴史や国民性、地政学的要因により、各国のエネルギー政策は驚くほど違います。
イギリス政府では北海油田の枯渇が迫っており、2020年までに再生可能エネルギーの比率を15%とする計画を立てていますが、スコットランド自治政府は独自に2020年に域内(人口520万人)消費電力を100%再生可能エネルギーで賄う計画を立てています。
スコットランドは、風況に恵まれ、洋上風力発電の潜在力が欧州全体の4分の1もありますが、フィンランドでは木材バイオマス以外の太陽光も風力も水力も期待できず、ロシアから化石燃料だけでなく電力も20%輸入しているなかでは、国策として新たに原発が建設されています。
ドイツでは、原発廃止にともなう電力不足を補うため、天然ガスによる火力発電の増設をメインに、再生可能エネルギーの拡充を図るとしていますが、植物からつくるバイオ燃料については自然破壊や食糧不足を起こすとして過大評価はしていません。そして、同時に強制的な電力使用制限を行わないことや、電気料金を安易に値上げをしないこととしています。
また、ドイツは連邦制国家であり、州政府の権限が強いため州によってエネルギー政策・電力自由化の取り組みは大きく違います。
あとは省略しますが、日本も、地域独自のエネルギー政策を進める分散型が望ましいと思います。