2012/09/07

欧州のエネルギー自立地域

エネルギー続きです。2年前、カールスルーエ市で再生可能エネルギーについて研修を受けました。

 カールスルーエ市では、ゴミを焼却するのではなく、ゴミ(生ゴミなど)を平地に積み上げて人工の丘をつくっていました。
 積み上げたゴミからはメタンガスが発生します。このメタンガスをポンプで集めて発電に利用しています。
 この丘へは2006年までごみが持ち込まれ、そこから出るメタンガスだけで約10,000人が使用する電力量に相当する電力が生み出されています。
 ゴミの山にカバーがされて、メタンガスを集めるポンプが設置されています。

 また、カールスルーエ市では、ゴミの丘でメタンガスによる発電だけでなく風力発電も同時に行っていました。
ドイツでは、この方式によるメタンガス発電と、生ごみプラントによるメタンガス発電で、毎年10GWHの発電量と排熱のコージェネレーションを確保していますが、日本では、ゴミをエネルギーを使って焼却しています。ゴミからエネルギーを生み出すのと、エネルギーを使って処理するのでは大きな違いです。(同じ苦しい戦争を経験した国でありながら、日本には資源が少ない国としての自覚が足りません。)


ここから本のことを書きます。「欧州のエネルギー自立地域」、滝川薫編著です。

日本は森林面積が66%ですが、ドイツは30%で、農地面積は日本の4倍もあります。農地面積が広く畜産も盛んなことから、畜産由来と木質のバイオマス発電とコジェネレーションも活発です。

この本を読むと、再生可能エネルギーにおいてバイオマス由来の発電・コジェネレーションの重要性がわかります。

デンマークでは5,036基の風力発電機が稼働し、ポテンシャルの高い洋上風力発電を推進していますが、それでもバイオマスが3倍のエネルギーを生み出しています。

また、土地によっては、小水力・マイクロ水力・小用水ダムなどが推進されており、スイスでは総発電量の56.5%を、イタリアでは15.3%を水力が担っています。

そして、地熱利用も進んでいますが、太陽光発電については、低収入層では単に電力料金が値上げされた経済負担だけがあるため、固定価格買い取り制度が経済格差をますます拡大させる悪法という批判が生まれています。

この本もエネルギーに関心のある方は読まれるべきだと思います。


引き続き、エネルギー関係の2冊の本を読みましたが、「地域分散エネルギーと地域主体の形成」は、エネルギーの問題を使った地域主体の形成が主題の本、「小水力発電を地域の力で」は、実際に活用するための本でした。