「逆手塾」での熊原保さんの知り合いで、ブータンへ研究に行かれている方の話の紹介があり、ブータンの幸福度はテレビの普及とともに急激に下がっているとのことだったが、調べてみると本当のようだ。
ブータンは識字率も低く、また、海外からの文化の流入や人との交流も抑えられているので、外を知らなかった。日本と同じような土地土着型の農耕を主としてきたため、江戸時代の日本の農村が幸せであったように閉ざされた社会でも幸せだった。
ブータンでは、テレビが急激な変化をもたらしている。
しかし、それはブータンだけが経験する話ではない。この動画に描かれている姿は、宮本常一さんが昭和40年頃の著作に書いている日本の農村の姿と同じだ・・・
「テレビの普及していない所では村人が歩調を合わせて一つのことを実践する統一力が見られたし、また人の集まりも良かったのであるが、テレビの普及しているところでは人の集まりも悪いし統一的な実践にかけてくる。・・・」
「ところがテレビが流行するようになって事情がすっかり変わって・・・自主性といおうか、自らの言おうとすることを心置きなく語って、人と人とのほんとの心のふれあいを見せた細やかさは、この二、三年来体験することがほとんどなくなったのである。」
「テレビのない時はそれがなかったのですが、テレビが入ってくることによって、子どもたちがそれを見て、同じ物を要求する。そうすると村のなかで貧富あるいは家の格式というものが、家の諸条件を整える条件にならなくなった。貧しくても、貧しいなりに辛抱するということがなくなり、そういうことも出稼ぎを促進させている・・・」
かつて、ブータンの幸福度が話題になり、ブータンを理想のように言われる方もおられるが、テレビも普及しITも進んでいる日本においては、少子化や高齢化など共通の課題が多いなかで国民の幸福度がブータンよりも高い北欧系の幸福度政策を目指すべきだと思いますが、みなさんはどう思われますか。