「フォークの歯はなぜ四本になったか」を読了しました。
丸焼きの肉が主食の文化では、箸では肉を切り取ることができないので役に立たず、肉を切るためのナイフが発達を遂げている。だから、中世の最も格式の高い食事では左右の手に一本ずつナイフを握って食べていたそうだ。
しかし、ナイフに刺した食べ物を口に運ぶのは危険があり、中東から伝わった二本歯のフォークが広まり、進化をはじめる。
二本歯では、食べ物がボロボロと落ちてしまうので、3本歯となり、さらに4本歯となって現在の一般的なフォークが出来上がるのは19世紀。
欠点を修正することで進化している。著者の表現によると「形は機能にしたがうのではなく、形は失敗にしたがう」となる。
他にも、ファスナーやクリップ、ポスト・イットなどが取り上げられているが、工業化の流れもそこにある。
対して、箸は5000年前に産まれてから進化をしていない。箸の文化では、あらゆる食べ物が箸で食べれるように切られたり柔らかく調理されたりして食卓に並ぶ。
箸の食文化と、ナイフとフォークの食文化がもたらす大きな違いを考えさせられる本。