翁百合、西沢和彦、山田久、湯元健治 共著「北欧モデル~何が政策イノベーションを生み出すのか~」を読み終えました。
この本を読めば、なぜ北欧が高福祉・高負担と、強い経済を両立させることができているのか、持続可能な福祉社会をつくり上げるためには経済成長が必要であり、その経済成長を実現するためには絶え間ない政策のイノベーションが必要なことがわかります。(それらが年金財政の持続可能性を高め、政府への信頼となっています。)
また、社会を支える人材となる人への投資の考え方がしっかりしており、教育が重視され、社会保障が生きています。
北欧の中央銀行の90年代の金融危機への対応を見ると、日本銀行が悪者にされるのも納得がいきます。
スウェーデンの中央銀行は、通貨を防衛するために、数日間公定歩合を500%まで引き上げ、安定化するとインフレション・ターゲティングを導入し、情報の開示に一早く取り組み、一時的なマイナス金利の事態なども恐れず、機動的に対応して、安定した経済成長を実現しています。
また、金融危機への公的資金の投入はすみやかに行われ、日本のように長引かせることなく、短期間で処理されています。危機事の政治のリーダーシップの発揮は、平時における政治に対する国民の信頼に基づいており、日本も政治に信頼を取り戻せる社会をマザさなければなりません。
また、財政に関しては受益と負担が見えやすいシステムが導入され、地方分権のもと、自治体によりサービスの違いがあります。そして、国際競争に生き残るために、企業が税制などで優遇されています。しかし、衰退産業に対しては保護しない厳しさも同時にあります。
北欧には学ぶべきものがたくさんあります。