イザベラ・バードは、明治11年の6月から9月にかけての3ヶ月間で東北、北海道を通訳の日本人と二人で旅をし、「日本奥地紀行」を執筆しています。
その中で、イザベラ・バードは「私はそれから奥地や蝦夷を1200マイルに渡って旅をしたが、まったく安全でしかも心配もなかった。世界中で日本ほど婦人が危険にも無作法な目にもあわず、まったく安全に旅行できる国はないと信じている。」と書いており、日本が当時から治安のよい国であったことが分かりますが、日本人のことを肯定的に見ているわけではなく、感じたままにいろいろと書き分けられています。
「日本奥地紀行」を読むと、明治初期の日本の田舎の姿を覘くことができます。旅人として見るとき、その姿は実に貧しくて、そして素朴そのものです。
当時、江戸時代からの移動の制限が残り、まだ日本が発展していない中では、豊かな農村と、貧しい疲弊した農村には大きな差がありました。貧しい疲弊した農村では生きることが精一杯であったと思います。三大飢饉などの記録を読むと、地域によって餓死者数なども大きく違い、口減らしなどの風習や、家族形態も違います。
放送のなかで、当時は300人が住む集落であったのが、今は、老夫婦の2人だけが住むだけとなってしまったところが取り上げられ、老夫婦の生活が映されていましたが、当時も豊かな土地ではなかったのではないかと思います。
この本に書かれているのは、当時の一面であり、今はもう存在しない歴史のなかの世界ですが、現代日本人のルーツを知るためにも、読むべき本のひとつだと思います。
「日本奥地紀行」のほかにも、当時を知るために読まれることをお薦めしたい本があるので、紹介します。
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