5冊目に読んだ本は、日本経済新聞社編集の「ニッポンこの20年~長期停滞から何を学ぶか」でした。
この本を読んでまず思ったことは、日本は、プラザ合意以降、だれも責任を認めて転換を図ろうとしなかったため、失敗を積み重ねて今日に至っているということです。
バブル崩壊直後に大胆な金融緩和と銀行への公的資金注入をせず、不良債権処理を長引かせたことで、経済の停滞と円高は定着しました。また、毎年国債が増発されるなか、
アメリカは、日本の失敗を研究し、リーマンショック後に、速やかな対応をしたので、ドルがあふれた市場ではドル安圧力となり、ドル安による物価上昇は続いています。
最近の15年間で、アメリカでは40%物価が上昇していますが、日本では物価上昇はほぼ0%と超安定しています。アメリカでは1ドルのものが1.4ドルになりましたが、日本では100円のものが100円のままになので、急いで買う必要はありません。しかし、この状態は世界の中で日本だけの特殊なもので、今後大きな痛み(強いインフレ)を伴う可能性がある様に思います。
また、長期にわたる停滞が続いている原因の一つとして、高機能製品にこだわりすぎて「ガラパゴス化」が進んだことが取り上げられています。日本製品は、日本人が思っているほど、海外では評価されていませんが、そのことを多くの日本人が知りません。(中国のように国内市場に贋物が氾濫している国は別です。)
今はネットで海外の報道記事を簡単に見れて、翻訳もできます。日本のマスコミのあり方にも問題があり、国内報道ではわからないことが多いので、時々は海外の記事も読む必要があります。
日本製品の市場シェア率も年々下がっており、以前は海外での販売のために工場進出していましたが、今では、価格競争のため、国内販売用の製品を海外の工場で安い賃金で製造するための空洞化が進んでいます。
日本の失敗を教訓に、韓国や台湾では、改革とFTAなどの貿易自由化が進められていますが、日本は遅れています。政治がしっかりしなければいけないのですが、世界では「ジャパン・バッシング(日本外し)からジャパン・ディッシング(日本切り捨て)」という方向に進んでいます。
現状を改革していく以外に道はありません。