きのうの宇治への往復の電車の中でも、本を読みました。
2冊目は、新雅史著「商店街はなぜ滅びるのか」でした。
私が子どもの頃にあった活気は商店街にはありません。そしてシャッター通りとなった商店街の周辺の市街地も人通りが少なく、高齢化が進んでいます。
著者は、明治以降の都市化と人口増加と、近代家族への形態変化や、都市に人が流れていくなかで極めて零細な小売業者があふれ社会問題化したこと、百貨店の登場など、時代背景に触れながら、商店街が古くからあるようで、実は意外に新しく、生活環境とともに社会が変化していくなかで利便性も要求され市街地のなかに形成されたとしています。
著者の商店街への思いは両義的であり、商店街が形成されてからの既得権益の確立のため保守化や、戦後の主婦連との対立、古い体質によるスーパーなどの進出拒否など、商店の多くが家族経営であったため社会変化にあわせた変革ができなかったことを滅びの理由としていますが、商店街が、社会変化のなかでの政治問題の場でもあり、ものの売り買いだけの場ではないこと。地域社会のなかでの生活基盤であることも描き、再生のためには高齢化を含む社会変化のなかで生活基盤を守るための規制も必要であることを訴えています。
本書は商店街をこれまでになく広い視点から取り上げており、商店街に関わる人には読んでいただきたいと思います。