書店でハーバードと日本史というつながりに興味を持ったので、読んでみました。著者の北川智子さんは、プリンストン大学で中世の日本史を専攻して博士号を取得し、29歳でハーバード大学の教壇に立っています。
ここでの「日本史教室」は、日本史の通史を教えているのではありません。北川さんが先行した中世の日本史をさらに限定しています。さらに、秋学期と春学期が独立した単位であり、カリキュラムは学期で独立しています。そして、毎週の講義に次の講義の前提となる課題と宿題が出されます。
中世の100年間に見る「KYOTO」、女性の視点から打ち出した「LADY SAMURAI」、の二つの講義の内容が書かれています。これらは日本と日本の歴史を知らない学生に興味を持ってもらうには、いい題材だと思いました。
日本史を広く・浅くでなく、1点を深く探究することは魅力的な大学の講義あり方だと思います。なおざりに日本史をたどったとしても、それでは役にも立たないと思います。
また、ハーバードの学生を惹きつける工夫、アメリカでの一般的な日本史の理解程度や、ブリティッシュ・コロンビア大学とプリンストン大学、ハーバード大学のの持つ雰囲気、ハーバードにおける教員評価など、日本の大学教育との質的な差を思いながら興味を持って読みました。
日本では学生が講義の優劣を評価するシステムはなく、教師(教授、講師)を評価することもありませんが、読んでいて必要だと思いました。