2012/05/08

昭和16年夏の敗戦(電車の中で読んだ本)


 今、東京に来ています。

 京都までは車で移動し、公明党府連本部、自民党府連本部へあいさつと報告に行きました。そして、京都から東京までの新幹線の中では、いつものように本を読みました。

 読んだのは、猪瀬直樹著 「日本人はなぜ戦争をしたか―昭和16年夏の敗戦」です。
 昭和16年4月1日に内閣総力戦研究所で軍部・官庁・民間から選りすぐった平均年齢33歳の研究生36名の入所式が行われ、その後、研究生がそれぞれの出身母体から持ち寄った極秘資料を駆使して、模擬内閣による机上研究がおこなわれ、物資補給・兵器生産・食料自給・戦局の展開を予測しています。

 そして、奇襲作戦を敢行して成功したとして、緒戦での勝利は見込めても、物量において劣勢な日本の勝機はない。戦争は長期になり、結局ソ連参戦により日本は敗れると、その後始まる太平洋戦争の経緯を正確に見通して、昭和16年8月16日、による内閣総力戦研究所での模擬内閣による机上研究は、日米戦日本必敗の結論にたどり着きます。

 「日米開戦は避けなければならない。」それが結論でしたが、模擬内閣の報告を熱心にメモを取って傍聴していた東条英機陸相から、口外するなという指示が出され、他に知られることなく4か月後には戦争に突入します。日米戦は机上研究の筋書きの通り、勝算のない泥沼の状態を経て敗戦にいたります。

 ある陸軍中佐が「大和魂こそアメリカにはないものでわが国最大の資源だ」と言ったとき、「日本には大和魂があるが、アメリカにもヤンキー魂があります。一方だけ算定して他方を無視するのはまちがいです。」と海軍大学校を首席で卒業していた研究生がすかさず反論していますが、陸軍中佐は「だまれ!」と言って無視しています。

 総力戦のシュミレーションがなされ、負けることはわかっていても、不毛な精神主義により戦争は遂行されています。