2014/02/11

植えない森づくり

「植えない森づくり~自然が教える新しい林業の姿」を読了しました。

ドイツでは、林業は主要産業ですが、日本のような皆伐や植林を行なわず、自然再生するだけ択伐しています。

明治以降、日本の林業はドイツ林業を取り入れたはずですが、一時的な考え方しか取り入れることなく、その後のドイツ林業の方向とは大きく異なる方向に進み、放置され荒れ果てた山林も多く衰退しています。

ドイツに比べ温暖で湿潤な日本では、植林をしなくても森林の再生が早く、松枯れの松林の後も自然に森林が再生されており、無理に植林する必要がないという著者の主張は理解できます。

また、杉や桧の造林が根が浅く土砂崩れなど災害の危険性があるのは、実生の木の苗には真下に伸びる直根があるが、植林に使われる多くの苗が挿し木により育成されたため、根が枝のように横にしか張らないためであることや、山は木の畑ではなく、現在の人工林の森林形態そのものが異常なものであること、超密林の吉野や北山が特殊な林業であることなど、勉強になります。

植えない林業がかつての日本でも進められていました。植えない森づくりで複層混交林による多面的機能を持った森林を再生していかなければなりません。