実父は昭和56年の3月に脳内出血で倒れたので、大学をやめて事業整理を手伝ったが、土地などの処理を巡って意見は合わなかった。
実父が信頼している人を僕はどうしても信用することができなかったが、父はその人(後に不動産業者)を絶対的に信用しており、最終的に利用されて全財産を取られて兵庫県の実家へ帰っていった・・・とずっと思っていた。
5年前、実父が再び倒れたときに、実家にあった書類をみていると内容証明郵便が出てきた。
実父が昭和57年に所有している土地を一部を数千万円で売っていたことは知っていたが、所有権移転のために司法書士に預けた印鑑と印鑑カード(印鑑証明)を、その司法書士が無断で実父が信用していた第三者に渡し、残りの土地と家屋の名義が変えられていたとは知らなかった(それまでは実父が信用していた人に印鑑と印鑑カードを直接渡していたものと思っていた)。
何千坪の土地が名義を変えられただけでなく、その後に転売が繰り返されていて、気がついた時には、訴えても「現在の所有者は善意の第三者」ということで土地が戻ってくることはなかった。
当時、実父が新しい所有者からの立ち退き請求に抵抗する中で、柄の良くない怖い人達から脅しをうけたり、大変だったことを思い出す。
すでに結婚していたので、大同家にも柄の良くない怖い人が何回か来たが、義母の親族に弁護士がいたので相談して対処する内に、身内に弁護士がいることを知ったら全く来なくなった。
でも、結果的に実父の住んでいた家に柄の良くない怖い人達が一時的に住むことになり、地域の人達に迷惑をかけたことを申し訳なく思っていた。
昨年、実父の三回忌を終えたころ、別件もある中で印鑑と印鑑証明を第三者に渡した司法書士と、この内容証明を見せながら話をした。
司法書士いわく、「〇〇兄(にぃ)のことは親しくなかったのでよく知らなかった。お父さんと親しそうにされていたので渡した。・・・」
なるほど、この人は親しくない人を「〇〇兄(にぃ)」と呼び、良く知らない人に職務上で預かった印鑑と印鑑カードを渡すんだ・・・弁解を聞いているともう何も言う気は起こらなくなった。
昨年の墓参りで、墓前に報告をした。
「内容証明郵便を見て、カッとなってすぐに司法書士に会いに行かなくてよかった。」
(Face Book 1月3日より)