ひょんなことで、食糧自給率の話しになったので、世界のなかでカロリーベースで食料自給率を計算しているのは、日本と、日本をまねた韓国だけで、日本の農水省が各国の食料自給率を収穫量や出荷量の資料から勝手に計算しているだけで、国際社会からは相手にされていないということを話したら、信じてはもらえませんでした。
そこで、国際連合食糧農業機関の統計では、世界での農産物輸入額の1位がアメリカで2位がドイツ、3位がイギリスで4位が日本、5位がフランスであることを話し、国民1人当たりの農産物輸入額も1位がイギリスで2位がドイツ、3位がフランスで、次は日本だけど金額はフランスの半分、そして農産物輸入額が世界一のアメリカは、人口が多いから1人当たりは少ないことを話しました。
ここまで話すと少しは信じてくれたようでしたが、金額と重量は違うのではないかということも言われたので、国民一人当たりの輸入量も、ドイツとイギリスが入れ替わるだけで、日本が4番目であることは間違いなかったと思うと話し、統計上の農業生産額はアメリカ、中国ブラジルなどに続き、日本の農業生産額が世界第5位であることを話すとびっくりしておられました。(ここ2年の円高により、ドルベースでの農業生産額はさらに膨らんでいると思います。日本の外で、日本の内情に詳しくない人たちが見れば、日本は農業大国であり、市場の開放を求められてしまいます。日本は経済交渉は下手な国のようです。)
日本は、ほとんど農産物の輸出をしていませんが、アメリカもドイツもイギリスもフランスも農業生産に補助金を出して輸出しています。その国の風土により生産できる農産物は限定されるので、貿易による調整が必要だという考え方であり、日本も同じように補助金を出して、農家所得補償をすれば、農家は米価が下がっても所得に影響はなく、消費者は安くお米が変えて、国内で消費できない分は輸出すればいいから、農家は今のように減反をしなくてもいいのです。
ウルグアイラウンド前後ににヨーロッパの国々のように農業政策の転換を図っていれば、日本の農業は大きく変わっていたと思います。
アメリカもドイツなどのEU諸国も、農業予算の農家への直接補助金(アメリカでは農家の農業収入に占める補助金の割合が50%を超えています。)がなければ農業が成り立たないことを話して、日本の農業政策の転換が必要だと思うと話すと、最後は強くうなずいてくれました。
また、食糧自給率には欠陥があります。農業生産が増えずに輸入が止まっても自給100%になります。アフリカの貧しい国などの後進国でも100%になりますが、100%に何の意味があるのでしょうか?江戸時代も自給100%になりますが飢饉などで多くの餓死者も出しています。
また、日本の国内で生産される卵や牛肉、豚肉、鶏肉は餌が自給されていないから、食糧自給率には95%がカウントされませんが、ほとんどを海外からの輸入に頼っている農薬や化学肥料については考慮されていません。