2011/10/15

デンマークの光と影(電車のなかで読んだ本)

 北欧の福祉は素晴らしいと思います。私はそんなにたくさんの本を読んだわけではありませんが、制度の背後には民族性があり、日本人がまねをしようとして出来るものではないと考えています。


 デンマークな関連した本は、以前の電車の中で読んだ本で取り上げた「平らな国デンマーク」があります。

 デンマークは福祉社会ですが、競争社会でもあり、両立しています。たとえば、公立の救急医療センターなら診察は無料ですが、相当の待ち時間を覚悟しなければなりません。しかし、民間の救急医療センターなら20分で診てもらえます。どちらを選ぶかは個人の意思が尊重されており、その代償も個人持ちとなります。

 しかし、癌などの治療の場合、公立の待機時間は2か月以上と長く、しばしば手遅れになる場合があり、民間に移して直ちに治療を受ければ助かる場合でも、命を優先して民間に移すことはなく治療が優先されることはもない中で、公立と民間の垣根が守られていて、デンマーク国民は、個人の意思で選んだ結果として納得しています。これは日本人にはできないことです。

 73%という極めて高い国民負担での高負担・高福祉なのだから、日本人なら命が優先されないことに文句を言うと思いますが、デンマーク国民は自己責任と考えています。

 制度だけを短時間で勉強しても、なぜ成り立っているのかはわかりません。福祉制度の根本的な見直しが議論されていますが、先進例として研究しながら日本人の精神性に合った制度を考えていかなければならないと思います。

 日本では、独居老人や、老齢夫婦世帯への対応が課題として挙がりますが、デンマークでは、2世代同居が4%と特殊であり、最後は一人きりになることが当たり前とされているなかで、個人がぎりぎりまで一人で生活することを社会として尊重して、福祉を考えています。根本が違うのです。

 これまでに、北欧の制度を勉強するために読んだ本を紹介します。





 著者の視点によって、また、扱う国や課題によって違いがありますが、読み込むなかで、わかってくることもあります。1冊だけ読んでわかったつもりになることが、最も理解を妨げることになると思います。