2011/12/26

平成24年度予算案 欧州危機「対岸の火事ではない」 主要国で最悪、借金大国

昨日、来年度予算の閣議決定の報道を見て、来年度予算閣議決定に思うを書きました。今朝の産経新聞のネット記事が補足になるので、以下、引用します。

以下引用・・・・・・

平成24年度予算案 欧州危機「対岸の火事ではない」 主要国で最悪、借金大国

2011年12月25日(日)08:00
平成24年度予算案は3年連続で新規国債発行額が税収を上回る異常事態となり、国の債務残高は膨らむばかりだ。欧州債務危機で、市場は「国債の信認」に厳しい目を向けている。国債の国内消化や経常収支の黒字、増税余地を根拠とした「日本は欧州と違う」との楽観論も危うい。主要国で最悪の「借金大国」である日本にとって、債務危機は決して「対岸の火事」ではない。
◆IMFが警鐘鳴らす
「財政の持続性をめぐる市場の警戒心から、日本国債の利回りが突然跳ね上がる恐れがある」
国際通貨基金(IMF)は11、12月と立て続けに日本の財政の危機的な状況に警鐘を鳴らす報告書を公表した。最も問題視しているのは、支出が収入を上回り、赤字を穴埋めするために借金を重ねる構造だ。
IMFによると、借金(新規国債発行)を除く歳入から歳出を引いた財政収支の赤字は、今年が国内総生産(GDP)の10・3%に上り、米国(9・6%)や英国(8・5%)を上回る。債務危機に揺れるギリシャ(8・0%)やイタリア(4・0%)は、経済の実力との比較では、赤字の割合はむしろ低い。
◆支える個人金融資産
それでも、日本で危機が顕在化しないのはなぜなのか。理由は3つある。1つは、国債の国内消化だ。日本が発行する国債の9割以上は、国内の個人や企業が持つお金で購入されている。支えるのは、約1400兆円に上る個人金融資産だ。その多くが銀行預金や郵便貯金に預けられ、金融機関が国債を大量に購入し保有している。
2つ目が、海外とのモノやサービス、投資などの取引状況を示す経常収支の黒字だ。日本は海外で稼いだ資金が企業や個人に蓄えられ、国債を買い支えている。これに対し、ドイツを除く欧州各国は軒並み経常赤字国だ。国内の稼ぎが海外に流出しており、国債の消化を海外の資金に頼らざるを得ない。
◆「双子の赤字」狙い撃ち
市場は、財政と経常収支の「双子の赤字」を抱える国を狙い撃ちし、国債を売り浴びせている。国債価格の下落で長期金利が上昇しギリシャは30%を超え、イタリアも危険水域の7%前後で推移。1%程度で低位安定している日本とは対照的だ。米国も双子の赤字を抱えるが、ドル基軸通貨体制の恩恵で、世界中の国がドル資産を保有し、資金が集まってくるため、金利も低水準に抑えられている。
3つ目が増税余地。日本は消費税率が5%なのに対し、欧州は軒並み20%前後。今後の増税によって財政再建が十分に可能というわけだ。
だが、3つの根拠はいずれも危うい。個人金融資産は、高齢化に伴う貯蓄の取り崩しで、「32年ごろまでに債務残高を下回り、吸収できなくなる」(エコノミスト)と指摘されている。経常収支も、経済産業省が現行の円高水準が続けば、産業空洞化が進展して貿易赤字が定着し、「2010年代後半には赤字に転落する恐れがある」との分析を公表した。歳出削減を置き去りにしたままでは、消費税増税に対する国民の納得を得るのは難しい。
市場が、日本国債の「暴落リスク」を意識し始めるのは時間の問題だ。長期金利が1%上昇すると、利払いなどの国債費が2・5兆円膨らみ、消費税率1%の増税分が帳消しになるとの試算もある。IMFは「成長を促進する構造改革と財政健全化が不可欠だ」と警告した。火の手は足元まで迫っている。(本田誠)
・・・・・引用終わり
 日本の金利が低位安定しているのは、デフレ経済が続いているからだと思っています。先日、民主党の前原政調会長が、消費税を上げるためにデフレの克服に全力を挙げることを強調していましたが、そもそも、国内での需要が弱いために緩やかなデフレが続いていることや、財政の健全化において民主党の政策が問題があったことなどを理解して言っているのか疑問に感じました。
 デフレの克服を言うなら、不足する民需を補うために公的支出を増やして、刺激する必要がありますが、平成24年度の予算では、民需を刺激することはできないと思います。また、EUの信用不安から世界中が財政健全化を進めているなかで、日本だけが財政規律を軽視すれば、国債の格下げなどで世界中からたたかれ、売り浴びせられて金利が上がることにでもなれば、国債発行による資金調達コストが上昇することになります。
 日本はすでに膨大な国債を抱えており、毎年予算に計上される新規国債以外にも多額の借り換えの国債を発行しており、平成23年は115兆円発行しています。つまり、平成24年の国債発行額は借換債も含めると174兆円以上になりますが、これだけの金額になると、金利が安定していなければ資金調達コストが予算に跳ね返ります。(また、国債金利が上昇すれば保有する金融機関の資産も劣化するため、EUのように金融不安に陥る可能性もあります。)
 前原政調会長は、もし、デフレが克服しされ、緩やかなインフレ(本来なら理想ではあるのですが)になり金利が上昇すれば、国債の利払いに莫大なコストを必要とすることを理解して発言していません。ほんの目先だけを見て発言しています。
 今年度末には国の借金が1000兆円を超えてしまう状況にあり、日本はデフレのなかで財政健全化を進める以外に道はないように思います。