2013/01/29

あんぽ柿・・・2年連続の生産自粛

27日は、被災地視察でした。

「あんぽ柿」は伊達市梁川町五十沢で大正時代に開発されました。

「あんぽ柿」は干柿の一種ですが、ころ柿のように白い粉を吹いたり、乾燥して黒く硬くなった干し柿とは違います。

伊達市には900戸を超える「あんぽ柿」の生産農家と組合があり、平成22年産は生産量が1,229トン、22億円の出荷額となっていました。

しかし、東日本大震災後の福島原発事故により思わぬ事態となりました。北西の風によって、原発から50キロ離れた「あんぽ柿」の生産地に影響が及びました。

原材料の柿は、検査の結果国の暫定基準値を下回りました。しかし、「あんぽ柿」は、干し柿の一種なので、水分がなくなった加工後の重さは原材料の柿の3分の1になり、セシウムが2倍から11倍に濃縮されることが試作検体の検査により判明しました。

組合は生産自粛を決定し、収穫されてない柿についてはボランティアの協力も得て処分し、柿の木の樹皮が汚染されていることから、平成23年の冬に、すべての柿の木を高圧洗浄により樹皮を落として除染します。


平成24年春の五十沢の柿の木は、除染によって樹皮が落とされ真っ白の幹・枝となりました。

徹底した除染により、生産農家の方々は希望を持って手入れをされ、たわわに柿が実りましたが、
国の暫定基準値が大幅に引き下げられるなか、またしても原材料の柿は暫定基準値をクリアするも、「あんぽ柿」は1.5倍から8.9倍に濃縮してしまいクリアできないことがわかりました。
説明される組合の方の声も悲痛です。



柿の実をつけたままだと木が弱ってしまうので、平成23年は、ボランティアの協力も得て、木に実った柿を取ってすべて処分されました。

本当は処分しなければならないのですが、平成24年産は放置され処分されてはいません。

柿の木が生産農家の方々の落胆の厳しさを物語っているように思えました。