2013/01/06

二宮金次郎の人生と思想(2)

以前、猪瀬直樹さんの「二宮金次郎はなぜ薪を背負っているか」を読んで、稀代の改革者であったことを知りました。さらに深く知りたいと思っていたので、二宮康裕著「二宮金次郎の人生と思想~日記・書簡・仕法書・著作から見た~」を読みました。




二宮金次郎が活躍した時代は、貨幣経済が浸透したなかで、飢饉により農村の人口が減少した時代でした。

青木村では天明の飢饉により130戸から39戸にまで減少し、42町(41.7ha)の農地が荒地と化しています。

烏山藩では1726年に18,774人であった人口が、享保・天明の大飢饉などにより1836年には10,031人まで減少し、多くの田畑(1,199町=1,189ha)が荒地と化し、藩財政は逼迫しています。

二宮金次郎は、当時の金融、相場などにもたけ、マイクロファイナンス(低金利の融資)による農民の自立支援など、現代での社会起業家ともいえる活躍で、多くの農村や藩の財政の再建に貢献しています。

この本では、二宮金次郎が記した文献により、当時の武士階級や農民の貧困・借金や藩財政・農村の疲弊、飢饉による農民の逃散などの状況がわかります。そして、農村が復興を強く求める本気度の必要性と、再建のために実際に投下された資金や、より多くの再建を進めるための資金の確保と運用も記されています。

「道徳のない経済は犯罪であり、経済のない道徳はたわごとである」という、二宮金次郎の言葉がありましたが、荒地を復興し農村を再建するには人が必要であり、その人を動かすためにはお金が必要であり、必要なお金を惜しんでは再建はできません。

今、地方では人口が減少し、耕作放棄地が広がっています。この本には学ぶべきことがたくさんあります。