MRICによる武蔵浦和メディカルセンターの多田医師が書かれた「救急患者の『受け入れ拒否』ではない、『受け入れ不能』なのだ」を読んだ。
今年の6月29日に、さいたま市で乗用車にはねられた38歳の女性が近隣の12病院から受け入れを断られたため、搬送に2時間半もかかり、その間2時間近く何の処置も受けることができなかったため、意識不明のショック状態に陥り、翌日骨盤骨折による出血性ショックで亡くなられました。
多田医師は県中央メディカルコントロール委員会の検証結果をもとに、患者を救うことができたのは、外科医、整形外科医、そして放射線科医が常駐し、なおかつ、緊急手術ができる設備を整えた三次救急医療機関だが、人口100万人当たりに1か所しかなく、その三次救急医療機関に救急患者が集中するため、アクセス制限をせざるを得ないため受け入れ不能であったこと、また、二次救急医療機関では交通事故による高エネルギー外傷であったため受け入れても治療処置ができず受け入れ不能であったことを書き、行政と医療機関と利用者が救急体制そのものが不足していることの責任をたらい回しをしていると批判しています。
話は変わりますが、5月、娘の妊娠が分かり、出産はどこでするのかと思っていたら、近隣の病院を回っても、途中経過は見るが、予約がいっぱいで出産はできないと断られたとのことで、里帰り出産をすることになりました。東京都内では待機児童も多くたいへんだと聴いていたので、後のことも考えて比較的に充実した地域に住むようにしたのですが、行政の乳幼児への対応が厚い分、若い夫婦が集中しているのかもしれませんが、受け入れ不能でした。また、娘によると、会社の先輩も里帰り出産とのことでした。
高額医療機器であるCTの日本の保有割合は世界でトップです。(左端が日本)
[以下、OECD資料から]
同じくMRIの保有割合も世界トップです。(左端が日本)
しかし、医師数はOECDの平均を下回っています。
しかも、日本では医師免許があれば働いていなくても医師数にカウントしますが、他の国は、フルタイムで働いている医師をカウントしています。日本は病院や高額医療機器は多いのに、医師は不足しています。