2011/11/11

義父と入れ歯


 食事中に差し歯が抜けてしまい、(部分)入れ歯がおかしくなったと義父が言ってきたので、歯医者に連れて行ったのは、昨年の今頃でした。

 歯医者さんの判断は早く、上顎の残り3本も悪いので抜歯して総入れ歯にすることになりました。認知症なので総入れ歯に慣れるのに努力はいるとのことでしたが、早くした方が良いので、久美浜病院に3日間入院して、3本の歯を一回で抜歯することになりました。

 しかし、久美浜病院での3日間は大変でした。

 義父は病院に歯を抜きに来ていることがわかっており、大丈夫だといっていたので、それを信じていったん家に帰ったのですが、歯を抜いて麻酔が切れると点滴を外して動き回り、看護師さんが注意しても聞かず、家族が交代で24時間付き添うことになりました。

 目が覚めているときは、一時たりとも目を離すことができず、「ここはどこか」、次には「なぜ病院にいるのか」、次には「なぜ医者は診察に来ないのか」と、同じ質問を延々と繰り返し、手を押さえていないと点滴を抜こうとします。安静にしないため出血しますが、訳が分からず「わしは帰る」と怒り出します。人の言うことを聞こうとしません。もう、全く環境の変化に対応できなくなっていることが分かり、認知症がかなり進んでいることを実感しました。

 家に帰ってからは、以前の部分入れ歯を使おうとし、歯が合わないといって怒ります。その都度、歯医者さんに行って抜歯してもらったこと、これから総入れ歯をつくるためには、歯茎が固まるのを待たなければならないことを説明するのですが、理解できません。しかし、時と共に歯のないことに慣れて怒らなくなりました。

 それから、ようやく歯茎も安定し、総入れ歯をつくってもらったのですが、総入れ歯に慣れるまでがまた大変でした。毎晩、寝る前に入れ歯を外し、朝起きてはめるようにするのですが、真夜中に起きて入れ歯をはめてみたり、義母の入れ歯をはめようとしたり、歯が無くなったと騒いだりしました。

 そして、入れ歯は、歯茎の変化に合わせて調整が必要なこともあるようですが、義父は口内炎も何もかもを歯の具合がおかしいと言うため、具合がよくわかりません。

 きょうは、午前中、義父を歯医者さんに連れて行き、歯の調整をしてもらいました。入れ歯の磨きが必要となり、時間がかかるため後から取りに行ったのですが、他の所要も済ませ家に帰ると、歯医者さんの診察後にデイサービスに送って行った義父が帰っており、入れ歯が無くなったと騒いでいます。

 研磨された入れ歯を差し出すと、すでに義父には歯医者に行った記憶はなく、勝手に入れ歯を持ち出したと怒られ、そして、歯医者に行って診察を受けたことを話しても、「わしは行っとらん。」の一言。

 認知症になってからの総入れ歯は本人が慣れるまで大変と聞いていましたが、本人だけでなく家族も大変です。

 でも、歯がなければ食べる楽しみがなくなり、認知症の進行も早くなります。